人はたいてい歳を取ると筋肉がやせ衰えて細く弱くなっていきます。若い人でもけがをしてギプスを巻いたり、大病をして寝込んだりすると使われなかった筋肉はやせて細くなります。筋肉を使わないことで起こる筋肉量の減少を廃用性筋萎縮と言います。歳を取ると体が弱ってあまり動かなくなるから筋肉が落ちるように思われていますが、実はそれは間違いです。加齢による筋肉量の減少は若い人に起こる廃用性筋萎縮とは全く違うものなのです。
最近、
加齢による筋肉の萎縮にサルコペニアという名前がつけられました。サルコペニアとは、筋肉(サルコ)が減少(ペニア)していることです。日本語では
加齢性筋肉減弱症と訳されます。筋肉量は20から30歳ごろがピークであり、その後は加齢とともに低下します。70歳以下の高齢者の20%程度、80歳以上では50%以上にサルコペニアを認めるという報告があります。寝たきりの原因疾患の第1位は脳卒中ですが、第2位はサルコペニアだという説もあります。
サルコペニアの特徴は速筋という強い力をすばやく発揮する筋線維が主に萎縮し、筋肉の性質が変わってしまうことです。サルコペニアでは筋肉の中の速筋線維が減少しますから、強い力を出したり速く走ったりということができ
なくなります。そのために転倒や転落の機会が増加します。
さらに筋肉の量が減って体の機能が低下した状態で肥満が加わったものをサルコペニア肥満と呼びます。特に女性は閉経後に内臓脂肪がつきやすくサルコペニア肥満になりやすいので注意が必要です。サルコペニア肥満になると、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を発症しやすくなります。やっかいなのは、身長や体重が以前とほぼ同じなので、見た目だけでは肥満になっているとは気づきにくいことです。
サルコペニアについては、筋力トレーニングによって何歳であっても筋肉量を増やすことができることが知られています。スクワット運動を自宅で毎日20分から30分ほど続けるだけでも十分効果は上がります。脂肪を減らすためにウォーキングなどの有酸素運動を組み合わせるとさらに効果的です。
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