厚労省が2000年から進めている国民の健康づくり運動「健康日本21」は、2012年度で「第1次計画」期間が終了し、2013年度から次の10年間を対象にした「第2次計画」がスタートします。第1次健康日本21ではメタボリックシンドローム(以下、メタボ)がすっかり有名になりました。日本整形外科学会(以下、日整会)では
ロコモティブシンドローム(運動器症候群:以下、ロコモ)
の啓蒙活動を10年間かけて取り組んでいく予定です。ロコモという概念は、2007年に日整会が提唱しました。
Locomotiveは「運動の」という意味で、骨・関節や筋肉など体を動かすために必要な「運動器」を表す言葉です。運動器が加齢により衰え、立つ、歩く等の移動能力が低下して生活の自立度が低くなります。要介護・要支援の原因はメタボからくる脳卒中や認知症もありますが、実は第1位はロコモからくる生活機能の低下や、骨折、関節疾患、脊髄損傷等だということが意外と知られていません。さらにロコモになると運動ができないために太ってメタボになるという悪循環も起こります。
ロコモ対策の推進で、運動器疾患による要介護・要支援の人を減らすことができます。ロコモは、「骨」「関節」「筋肉」それぞれの働きが加齢によって低下することから始まりますが、最も早く現れるのは
筋肉の減少です。筋肉が萎縮することで関節の保護ができなくなり軟骨が磨り減ります。さらに転倒しやすくなります。
筋肉は何もしないと加齢とともに確実に減少します。特に萎縮しやすいのが太ももの前側にある大腿四頭筋です。ただ、筋肉は歳を取っても運動によって鍛えることができます。ふだんから運動習慣を身につけて筋肉を鍛えることが、将来の寝たきりを予防することにつながります。
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