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運動器の痛みについて(3)~腰痛・膝痛に安静は逆効果?~

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腰痛・膝痛に安静は逆効果?
人は生涯の間に必ず一度は腰痛を経験すると言われています。腰痛になったら悪化しないようにできるだけ横になって安静にするというのがこれまでの常識でした。ところが最近発表された研究では、腰痛発症から4日以上安静にしてしまうとその後1年以上も痛みをはじめとした機能障害が残ることが報告されています。過度の安静やギプスなどを用いた患部の固定による不活動状態は、それ自体が痛みを生み出し、慢性痛の発症要因になるということがわかってきたのです。動物実験でラットの足関節を4週間ギプス固定したら、ギプスを外した直後から2週間後までは痛覚閾値が低下して痛みを感じやすくなったということも報告されています。人でも動物でも安静は害が多く、体を動かさない状態が長期化すると、その痛みは慢性痛へと発展する可能性があると言うことです。その理由としては痛みを伝える神経そのものが、過度の安静によって刺激されないことで変調をきたして痛みが起こるとされています。
運動~ 高齢になると増えてくる変形性膝関節症による膝の痛みも、従来は安静にして膝に負担をかけないことが良いとされていました。ところが膝についても過度の安静は逆効果で、むしろ運動をした方が痛みは取れるのです。運動して膝関節周囲の筋肉を鍛えることで膝の安定性が増し、さらに固くなってしまった膝の腱や靭帯を柔軟にすることによって膝にかかる負担を減らし、痛みを軽減することができるのです。安静にしているだけでは、膝関節周囲の筋力が低下して膝にかかる負担が増し、症状が悪化してしまいます。特に関節軟骨には血管がなく、栄養補給のためには適度な歩行などの運動に よる圧縮・弛緩のリズミカルな刺激が必要です。あまり痛みがないのであれば安静にするのではなく、むしろ積極的に散歩などに出かけるべきなのです。

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お答えします

河村 顕治 先生
Kenji Kawamura
  • 吉備国際大学大学院保健科学研究科教授
  • 岡山大学医学部卒業
  • 医学博士
  • 日本リハビリテーション医学会専門医
  • 日本整形外科学会専門医

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