リハビリの現場で活躍するドクターの生の声をお届けします!日本全国!リハビリ・医療機関訪問

第2回

リハビリは、身体の機能が低下した時、
他の何かで補いながら、今までの環境に適応していくこと

むさしのタワーズ整形外科
院長:西田 光 氏
整形外科で診る疾患でリハビリが必要なものにはどんなものがあるのですか?

整形外科で扱うものであればほとんどあらゆる疾患と言ってしまっても過言ではありません。軽症なもの、例えば骨折でもちょっとギプスの板をあてておくだけで治ってしまうようなものもありますが、変形が強くてギブスを巻いていても後遺症が残ってしまうようなものもあります。打撲でも筋肉を挫傷していて、中で筋肉が傷ついて、歩いたときに痛みが残ってしまうようなケースでは、温熱療法や電気治療で組織の修復を促しながら筋力の強化を図る、などのリハビリが必要です。同じ肉離れでも3週間ですっきりと治るケースもあれば、長期に渡って痛みが残ってしまうようなケースもあるので、疾患で区別することは難しいです。

来院される患者様はどんな症状が多いのでしょうか?

圧倒的に多いのは肩こり、腰痛、ひざの痛みです。必ずしも高齢者かというとそうでもありませんが、中高年が多いです。肩こり、腰痛は個人差があって、元々の背骨の形状、生まれ持った体格などによって、周りの筋肉に負担がかかりやすい人、かかりにくい人がいます。椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などの特定の疾患でない人でも、筋肉が疲れやすかったり凝りやすかったりということがあります。

腰痛などは、体操で治ることがあると聞きますが?

神経痛の場合は無理な運動をしたり、筋肉を揉んだりして治ることはありません。
無理なストレッチによって悪化してしまうようなケースも多く、ヘルニアなどの疾患についてはストレッチが危険な場合もあります。こうした判断は難しいので、やはりまず専門の医療機関で診断を受けてから、マッサージや整体に行ってよいかを相談するのが望ましいです。

例えば肩の場合でも、石灰沈着性の腱板炎で、動かしたり揉んだりしてはいけない状態なのに、無理に動かして悪化させてしまうようなケースがよくあります。私たちもレントゲンを撮らなければ最終的な診断ができないことがしばしばありますが、画像診断を含めて診断の精度を高め、きちんと疾患に対応した治療をしていかなければなりません。又、場合によっては手術が必要なケースもあります。手術が必要かどうかの判断を行うこともクリニックの医師の重要な役割です。

非外傷性の疾患でも麻痺が残ったりする場合があるといいますが?

「麻痺」というと、力が入らなくなる、全く動かせなくなってしまうような重症のものだと思ってしまうことが多いのですが、「不全麻痺」という神経障害もあります。例えば坐骨神経痛の場合、椎間板ヘルニア、椎間板変性症や、腰部脊柱管狭窄症などの一般の疾患でも起こってきます。必ずしも外傷性でないもので神経障害を起こして痛みを感じたり痺れたりする人は多いです。痺れも、ピリピリするという人もいれば、ジンジンする、入浴した時に左右で温度の感じが違う、歩いている時に足が重たくなる、突っ張ってしまう、等々、患者さんによって千差万別の言い方をされています。


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執筆者の紹介

西田 光 氏

むさしのタワーズ整形外科 院長

大学病院での副医局長・病棟班長及び一般病院の整形外科医長、リハビリ専門病棟の担当医を経て、2010年むさしのタワーズ整形外科開設。
経歴
1993年 東京女子医大第2病院整形外科助手~副医局長、病棟班長
1998年 大樹会 佐藤病院(鎌倉)整形外科 医長
2003年 井上外科胃腸科(現 世田谷井上病院)整形外科 医長
2005年 慈生会 野村病院(三鷹)リハビリテーション科 医長 (回復期リハビリテーション病棟)
2011年 むさしのタワーズ整形外科開設