前十字靱帯損傷に限らず、人の身体は使わないでいると、予想以上に筋肉などは急速に衰えます。また、手術の後遺症などもあるため、リハビリテーションの役割は手術と同様に、非常に重要です。
基本的にリハビリテーションは、医師およびスポーツ整形外科を専門にしている理学療法士の指導の下で行う必要があります。
前十字靱帯損傷に関していえば、術後のリハビリテーションはもちろん必要ですが、実は術前から手術前から下肢の筋力を十分に鍛えておくなどの術前リハビリテーションも、その後の回復を左右するため行っておく方がいいでしょう。
術前にリハビリテーションを行う理由としては、まず、前十字靱帯を損傷すると、通常よりも回復が遅くなり、膝の曲げ伸ばしがしにくくなったり、ももの筋肉(大腿四頭筋)がやせて力が入りにくくなったりすることがある点があげられます。
さらに、このような状態が続くと、
正常に歩けず日常生活に支障をきたすことも少なくないため、手術を受けるまでの期間、できるだけ普通の生活をするためにも必要です。
術前であっても適切な
リハビリテーションをすれば、一般的に
2週間~1ヶ月間で日常生活ができるようになります。中には、
ジョギングは3ヶ月以降としています。また、リハビリテーションによって周囲の筋肉が鍛えられることから、曲げ伸ばしもそれほど痛みを感じずにある程度までできるようになります。なお、リハビリテーションを行う前後で筋力を測定している施設もあります。自分の
回復の具合が分かるのでお勧めです。
また、保存療法を選択された方にもリハビリテーションは重要です。
前提になるのは腫れ、熱感などの炎症症状が治まってからになりますが、リハビリテーションをすることで、膝の動きが悪くなったり、筋力低下などの2次的な症状を改善したりするからです。そして、最終的には再び前十字靭帯損傷をしないような体作りができます。
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