知っておきたい!対処方法~前十字靱帯損傷編~

前十字靱帯損傷のリハビリテーション

「前十字靱帯(膝)」を損傷した場合、治療せずに運動を続けていると、膝の他の組織を傷つけることになるので、早期に治療を受けてください。

前十字靱帯損傷編

(1)術前のリハビリテーション

前十字靱帯損傷に限らず、人の身体は使わないでいると、予想以上に筋肉などは急速に衰えます。また、手術の後遺症などもあるため、リハビリテーションの役割は手術と同様に、非常に重要です。
基本的にリハビリテーションは、医師およびスポーツ整形外科を専門にしている理学療法士の指導の下で行う必要があります。
前十字靱帯損傷に関していえば、術後のリハビリテーションはもちろん必要ですが、実は術前から手術前から下肢の筋力を十分に鍛えておくなどの術前リハビリテーションも、その後の回復を左右するため行っておく方がいいでしょう。
術前にリハビリテーションを行う理由としては、まず、前十字靱帯を損傷すると、通常よりも回復が遅くなり、膝の曲げ伸ばしがしにくくなったり、ももの筋肉(大腿四頭筋)がやせて力が入りにくくなったりすることがある点があげられます。

術前のリハビリテーション

さらに、このような状態が続くと、正常に歩けず日常生活に支障をきたすことも少なくないため、手術を受けるまでの期間、できるだけ普通の生活をするためにも必要です。
術前であっても適切なリハビリテーションをすれば、一般的に2週間~1ヶ月間で日常生活ができるようになります。中には、ジョギングは3ヶ月以降としています。また、リハビリテーションによって周囲の筋肉が鍛えられることから、曲げ伸ばしもそれほど痛みを感じずにある程度までできるようになります。なお、リハビリテーションを行う前後で筋力を測定している施設もあります。自分の回復の具合が分かるのでお勧めです。
また、保存療法を選択された方にもリハビリテーションは重要です。
前提になるのは腫れ、熱感などの炎症症状が治まってからになりますが、リハビリテーションをすることで、膝の動きが悪くなったり、筋力低下などの2次的な症状を改善したりするからです。そして、最終的には再び前十字靭帯損傷をしないような体作りができます。

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前十字靱帯損傷編 ― 前十字靱帯損傷のリハビリテーション ―

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執筆者の紹介

中山 寛 氏

中山 寛 氏

兵庫医科大学  整形外科 助教

昭和52年生まれ

医学博士、日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本体育協会認定スポーツ医専門はスポーツ整形外科、下肢関節鏡手術(股関節、膝関節、足関節)
前十字靭帯再建術は解剖学的2重束再建を行なっている。