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第5回 ニューロリハビリテーションを推進する

リハビリテーションの現場から
~日本医科大学千葉北総病院(千葉県印西市)~

日本医科大学千葉北総病院
リハビリテーション科
部長・教授:原 行弘 氏
モチベーションを刺激する随意運動介助型電気刺激装置(IVES)

随意運動介助型電気刺激装置(IVES/以下IVES)は、「この動きを復活させたい」といった動きのポイントに必要な筋肉につけて使用します。通常は肩と腕の二箇所の筋肉にとりつけるそうです。その上で、ものを持ちあげたり、輪投げをしたり、通常のリハビリをします。

患者さんがリハビリのために、筋肉を動かそうと命令を出すと、機械のスイッチがONになり、あらかじめ調整した度合い、たとえば筋電図の3倍の量といった電気刺激を与えられます。電気刺激が加われば、手が動く範囲が広がり、できることはぐんと増えます。患者さんにとっては、自分の手を動かそうとする意志を電気信号というカタチで感じ取れるので、リハビリのモチベーションがあがります。

パソコン、リハビリ
リハビリでパソコンも打てるようになりました

たとえば、現在リハビリ中のAさん(47歳)。リハビリ・ルームに伺った時は、ちょうどパソコンを打っている最中でした。スタスタこちらに歩いてくる様子は、とてもリハビリ中の人には見えませんでした。

Aさんは昨年の3月に脳卒中で倒れ、右半身全部が麻痺したそうです。約半年にわたって専門病院でリハビリを続けることで、何とか歩けるようにはなりましたが、手はかろうじてあがるものの力が入らず、いつもダランとしていたそうです。その上指を開くこともできませんでした。

「リハビリは終了しましたが手はマヒしたまま。まだ、40代なのであきらめ切れませんでした」(Aさん)。そこで、次はIVESをためしてみようと考え、この病院にきたそうです。
「初診の時は、手首も肘も曲がっていて、指も開かないので握手もできない状態でした」(原先生)。

Aさんは、11月からリハビリをスタートさせました。
「どんなにがんばったところで、たいした動きはできませんが、電気刺激の補助によって、自分が動かそうとしていると感じられ、モチベーションはずいぶんとあがりました」(Aさん)。

IVESの利用
リハビリに意欲を見せるAさん

そこで、今度は2週間の短期集中入院に挑戦する気になったそうです。入院といっても寝てるわけではありません。朝8時半から夕方5時までのリハビリの集中特訓です。幸い、Aさんには目覚しい効果がありました。手の運動機能評価の点数は、入院時には100点満点中9点でしたが、退院後は33点まで上がったそうです。現在は、中指以外はかなり動くようになり68点まで回復したそうです。ゆっくりならパソコンも打てるし、ペンで自分の名前をかけるようになりました。箸もリハビリ用のものなら使いこなせます。
「普通の人は90点台。60点こえれば、生活にはあまり困らなくなります」(原先生)。

「目標は、以前のようなスピードでパソコンがうてるようになることです。とにかく、運動機能が向上している限り、リハビリを続けます」と意欲的な答えが返ってきました。
患者の8~9割はIVESで何らかの効果が出るそうです。もちろん、手が上がらなかったのに料理ができるほど回復する人もいれば、「ほんの少し手があがった」「ほんの少し指が開いた」程度の人もいます。

このように効果には個人差があるので、同リハビリテーション科では3ヶ月のお試し期間制度を設けています。この間の効果で、今後もリハビリを続けるかどうかを決めるそうです。

(取材・編集:リハビリネット編集部)

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先生の紹介

原 行弘 氏

原 行弘 氏

<日本医科大学千葉北総病院 リハビリテーション科 部長・教授>

経歴
1985年 慶應義塾大学医学部卒業
慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室入局
慶應義塾大学医学部付属病院で研修医、専修医修了
1994年 慶應義塾大学医学部付属病院リハビリテーション科医長
1995年 ニュージャージー医科歯科大学リハビリテーション医学教室留学
1997年 国立療養所村山病院医長
2000年 東京都リハビリテーション病院医長
2001年 日本医科大学千葉北総病院リハビリテーション科部長・助教授
2007年 日本医科大学千葉北総病院リハビリテーション科教授
病院の紹介

日本医科大学千葉北総病院

〒270-1694
千葉県印西市鎌苅1715
tel:0476-99-1111
http://hokuso-h.nms.ac.jp/

<特徴>
日本医科大学千葉北総病院・リハビリ科は、脳の再構築を促すニューロリハビリテーションの推進で全国に知られています。最近では、脳卒中や頭部外傷などによって認知症に近い症状が出る、高次脳機能障害のリハビリにも取り組んでいます。