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第5回 ニューロリハビリテーションを推進する

リハビリテーションの現場から
~日本医科大学千葉北総病院(千葉県印西市)~

日本医科大学千葉北総病院
リハビリテーション科
部長・教授:原 行弘 氏
日本でも注目を浴びてきたニューロリハビリテーション(2)

右手マヒ

それに対して、これまでのリハビリテーションは、「壊れた脳神経は再生しない」という考えでした。それゆえに、リハビリテーションの目的は残った機能を伸ばすことでした。典型例として「利き手交換」があります。右利きの人が「右手マヒ」になれば、ひたすら左手を上手に使えるようになるための訓練をしていました。 「ある意味、マヒ手の切り捨てともいえるでしょう」(原先生)。

また、脳卒中に関しては、リハビリ期間の勝負は「半年以内」という常識もありました。それを過ぎれば回復の見込みはほとんどないとされてきました。ですから、厚生労働省のリハビリの制限期間が半年に定められているわけです。

一方、ニューロリハビリテーションでは、脳神経は再構築できることを前提にしています。もし、右手がマヒしていれば、リハビリによって右手の機能を少しでも回復させ、できるだけ生活に参加できるようにしようという発想です。症例によっては半年以上経過してもリハビリの効果はあると考えられます。実際に同病院に通ってくる患者さんの大半は脳卒中になってから1年以上。あちらこちらの病院を回ってくるので、脳卒中になって2~3年はたっている患者さんもいるそうです。それでも、若い人はかなりの効力が認められます。

杖をついて歩く

ニューリハビリテーションは、主として「手」を対象としています。というのは、手の機能回復は非常に難しいからです。

たとえば歩くことに関しては、杖をついたり、つたい歩きができれば、普通の人とそう変わらない生活ができます。ある程度の距離を移動できれば、社会復帰もそれほど困りません。だから、費用対効果を考えれば、これまでのリハビリでも十分有効といえるでしょう。

しかし、手のマヒの場合は、ただ動くだけではできることは限られます。
ものをつかむにしても、字をかくにしても、肩、肘、手首、指などがなめらかに連動する必要があります。数十年間変わらない単純な反復運動では、脳神経の再構築を促すのは困難であり、上肢機能の回復はのぞみ難いといわれています。ですから、手に関しては細やかなニューロリハビリテーションが必要になるわけです。

(取材・編集:リハビリネット編集部)

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先生の紹介

原 行弘 氏

原 行弘 氏

<日本医科大学千葉北総病院 リハビリテーション科 部長・教授>

経歴
1985年 慶應義塾大学医学部卒業
慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室入局
慶應義塾大学医学部付属病院で研修医、専修医修了
1994年 慶應義塾大学医学部付属病院リハビリテーション科医長
1995年 ニュージャージー医科歯科大学リハビリテーション医学教室留学
1997年 国立療養所村山病院医長
2000年 東京都リハビリテーション病院医長
2001年 日本医科大学千葉北総病院リハビリテーション科部長・助教授
2007年 日本医科大学千葉北総病院リハビリテーション科教授
病院の紹介

日本医科大学千葉北総病院

〒270-1694
千葉県印西市鎌苅1715
tel:0476-99-1111
http://hokuso-h.nms.ac.jp/

<特徴>
日本医科大学千葉北総病院・リハビリ科は、脳の再構築を促すニューロリハビリテーションの推進で全国に知られています。最近では、脳卒中や頭部外傷などによって認知症に近い症状が出る、高次脳機能障害のリハビリにも取り組んでいます。