冬季オリンピックなどで人気が高い「クロスカントリー」は、雪の積もった野山を選手が駆けるスキー競技の1つで、いわゆる「ノルディックスキー」に分類されるスポーツです。
選手は走行時に、2本のストック(ポール)を両手に持ち、時には身体を支え、時には推進力として使用します。
そのクロスカントリーの選手が、雪がない夏の間、体力維持と強化トレーニングを兼ねて、競技のストックと靴で野山を歩き回るようになったことから始まったのが「ノルディック・ウォーク」あるいは「ノルディックウォーキング」と呼ばれるフィットネスエクササイズです。
日本では、ポールを突いて推進力にするものを『ノルディックウォーキング』、歩行を補助するものを『ノルディック・ウォーク』あるいは『ポールウォーキング』と呼んで区別しています。
そのノルディック・ウォークですが、選手のトレーニングを通して、エクササイズとしての効果もあることが分かったことから、1997年春、フィンランドで老若男女が楽しめる新しいフィットネスエクササイズとして紹介されました。
すると、たちまちブームとなり、2年後にはフィンランドの500万人いる国民のうち約30万人もの人がノルディック・ウォークの愛好者となり、さらに、そのブームは国境を越えてヨーロッパやアメリカまで広がりました。
そして、2008年の時点で、国際ノルディックウォーキング協会INWA:International Nordic Walking Association)の発表によると20か国以上に愛好者がいて、その数も全部で約800万人もいるほどになったのです。
ノルディックウォーキングに関する論文も世界で50本以上も発表されていて、そのほとんどの論文が、生理学的や医学的などの見地から見てもノルディック・ウォークの有益性を認めています。
特にエネルギー消費量から見た場合、普通のウォーキングと比較して、運動の効果がおよそ1.1~1.2倍になると言われていますし、高齢者や各種生活習慣病などの疾患者に対する有益性も、普通のウォーキングよりも高いことが確かめられています。
さらに、膝関節への負担軽減という観点からのバイメカニクス研究に関しても有益性があるという報告もなされています。