知っておきたい!対処方法
~膝の手術後のリハビリテーション~

高位脛骨骨切り術のリハビリテーション

O脚を原因とする膝の変形を改善する手術

膝の手術後のリハビリテーション編

(3)術後リハビリテーションの流れ

リハビリテーションは、手術した膝に負荷をかける運動が主体となります。そのため、どうしても膝に負担がかかってしまい、人によっては、リハビリテーション後に膝が腫れることがあります。しかし、それは病状が悪化したわけではなく、治癒の過程に起こる自然なことです。もし、そうした症状が見られた時は、アイシングをして膝を冷やします。ただし、それでも痛みを感じる場合は、場合によっては痛み止めを使う場合もあります。いずれにしましても、膝が腫れるからといってリハビリテーションを止めるようなことはせず、医師や理学療法士などと相談しながら続けるようにしてください。

そのリハビリテーションの流れですが、具体的には、次のようになります。

術後1日目は、カテーテルを抜去した後、自動下肢伸展挙上で訓練を開始し、同時に「持続他動運動装置(continuous passive movement:CPM)」などを用いた膝の屈伸運動も始めます。

歩行運動の図
2日目には、創部ドレーンの抜去後、10㎏ほどの下肢部分荷重をかけての筋力訓練を行います。そして1週間ほどたった頃に、レントゲン撮影によって状態を確認し、大丈夫だと判断されたならば、今度は部分荷重を20㎏から体重の半分まで増やした筋力訓練と可動域訓練、そして松葉杖歩行に進みます。

その後、約2週間たって、再度、レントゲン撮影を行い、回復が順調であれば体重の半分量を用いて、筋力訓練と可動域訓練、松葉杖歩行を行います。

3週目になると、レントゲン撮影による確認を経てから、全荷重による筋力訓練をはじめ、可動域訓練とT字杖歩行の訓練を始めます。

これらを経て、4週目になり、レントゲン撮影で異常が見つからなければ、T字歩行の安定性を確認し、OKが出たなら筋肉訓練と可動域訓練を行って、いよいよ退院となります(早い方であれ、術後3週で退院も可能です)。ただし、これらはあくまでも目安であるので、主治医の先生としっかり相談して進めるようにしてください。

なお手術後には、体重の増加や重い物の持ち運び、そして必要以上の歩行や階段の上り下りは避けるようにしましょう。

ただし、逆にまったく動かない生活は、筋力を衰えさせることになるため避けるように心がけてください。また、スポーツの再開は必ず担当医師と相談してからにしてください。

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膝の手術後のリハビリテーション編
― 高位脛骨骨切り術のリハビリテーション ―

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監修

中山 寛 氏

中山 寛 氏

<整形外科医>
兵庫医科大学
整形外科 助教

昭和52年生まれ

医学博士、日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本体育協会認定スポーツ医、専門はスポーツ整形外科、下肢関節鏡手術(股関節、膝関節、足関節)。