変形性膝関節症と診断した場合、その治療法は大きく3つあります。
第一は「保存療法」です。保存療法には、膝を動かして筋力をつけるリハビリテーションをはじめ、杖や足底装具、膝サポーターなどを使った装具療法や温熱や電気刺激、光線などを用いて生理的生化学的変化を起こすことを目的とする物理療法や、湿布や塗り薬、痛み止めの内服薬などを用いる薬物療法などがあります。なお、実際の治療は、これらをいくつか組み合わせて行います。
そして第二は「関節注射」です。これは、ヒアルロン酸を膝関節内に注射し、炎症を押さえます。また、膝の関節に関節液がたまっている場合に有効です。
第三は「手術」です。変形がまだ軽いようであれば、炎症を生じた関節内の滑膜(かつまく)切除を行う他、半月板損傷や関節内遊離体などに対しても手術することで、効果が期待できます。その手術の1つが、今回詳しく紹介する「高位脛骨骨切り術(High Tibial Osteotomy:HTO手術)」です。これは、活動性の高い人を対象とした手術で、関節のバランスと機能を改善することが期待できる手術です。
なお、重度の変形があって日常生活に支障をきたしているような場合には、人工膝関節手術を行うこともあります。これは文字通り、膝に人工関節を埋め込む手術です。
どの治療法になるかは、年齢や変形の進行具合などの診断結果によって異なりますが、いずれにしましても、長引く膝の痛みやはれがあったり、O脚やX脚変形が見られたり、正座ができないなどの症状を感じているようでしたら、変形性関節症の可能性が考えられますから、整形外科で正確な診断を受けた方がいいでしょう。