既述(
前十字靱帯損傷編 ― 役割と予防 ―)のように前十字靱帯を損傷した場合の治療法には、大きく手術をしない
保存治療と
手術治療があります。
どちらを選ぶかは医師の診断によりますが、そのまま治療せずに放置しておくと、既述のように、半月板や軟骨の損傷を引き起こすことが可能性は高いことは確かです。日本整形外科学会のガイドラインでは、活動性の高い若年者には、手術を念頭に置いた治療が必須となっています。つまり若い人はできるだけ手術をした方がいいということです。
もっとも、中高年であっても手術治療をすれば、若年者と変わらない結果は得られます。しかし、その一方で、治療せずにそのままにしておく保存療法でもレクリエーションレベルの活動には支障が出ない場合もあります。ですので、実際には、その患者の活動性や合併損傷、治療プログラムへの参加が可能かなどを考慮して手術をするべきかどうかを判断します。
ただし固定している間、足は使わないわけですから、筋力低下や関節可動域に影響が出ます。そのため、機能の回復訓練、いわゆる
リハビリテーションの
トレーニングは必要です。また、損傷前の状態や、手術で再建した靱帯ほどの強度はない可能性も高いので、無理はしないようにしましょう。