●骨付き膝蓋腱(BTB)を用いる方法
少し前までは、再建手術の王道中の王道だったもので、膝蓋腱(膝のお皿の下にある腱)を移植靭帯として採取して使う方法です。
まず、膝蓋骨と脛骨の間にある膝蓋腱の真中の1cm程を上下に骨を付けたまま切り取ります。そして、これを前十字靭帯のかわりに移植(スクリューやステープルで固定)します。
この方法には、腱が十分に太く丈夫なことに加えて、靭帯の両端に骨がついていることから、骨と骨はくっつきやすいという特徴があるので移植した靭帯が早期に癒合し、初期固定力も高いという利点があります。
しかしその一方で、手術をした跡(傷)が比較的大きいという欠点があります。さらに、腱を切り取った部分に痛みが残ったり、また、立て膝をしたり、正座をしたりすると膝の前面に痛みを感じることがあるのが短所と言えます。
その他、膝蓋骨骨折を生じることがあったり、膝伸展筋力が一時的に低下したりとする短所もあることから、現在では、次に紹介する“ハムストリング腱(STG)を用いる方法”が主流となってきています。 なお、手術の際に骨に取り付けたスクリューやステープルは、腱がくっついた後に、取り除く(抜釘)する場合もあります。
中山 寛 氏
兵庫医科大学 整形外科 助教