変形性膝関節症では、これまでに述べてきましたように、基本的にはステージにかかわらずまず
保存療法が行われます。
保存療法には、
リハビリテーションをはじめ、
装具療法や
物理療法、
薬物療法などがあり、多くはいくつか組み合わせて進められます。
ちなみに手術療法は、保存療法で効果が無い場合に行われることがほとんどで、実際には保存療法が主となります。
保存療法には、大きく「日常生活指導」「薬物療法」「理学療法」「装具療法」があり、それぞれ下記のような治療が行われます。
日常生活指導では、まず減量が第一で、続いて正座や階段昇降など膝に負担がかかる行動は控える他、杖などを使用して膝にかかる負担を軽くするようにします。
薬物療法では、消炎鎮痛剤を内服したり、外用剤を使ったり、関節内にヒアルロン酸を注入したりします。
これは週1回の注射を5回ほど繰り返します。ヒアルロン酸は膝の軟骨の成分です。加齢と共に減少していくものです。これを補うことにより、膝の痛みを改善します。
理学療法では、温熱療法や運動療法、そして別章で紹介するリハビリテーションが行われます。
装具療法では、足部の変形、矯正などの治療に用いられる「足底装具」を使用して膝への負担を和らげたり、支柱入りサポーターを装着したりします。
足底板はO脚変形の方の場合は足の外側を少し持ち上げた形のものを使用します。市販で売っているものもありますが、病院で装具屋さんにしっかり型取りをしてもらい、自分の足に合ったものを使いことをお勧めします。保険適応されます。
これにより、O脚をX脚に近づけ、膝の内側の負担を逃がします。
いずれにしましても、すり減った関節軟骨は現代の医学ではまだ元には戻せません。
しかし、痛みが和らぎ自由に歩けるようになったり、普通に生活できるようになったりするなど、機能を回復してより良い状態にすることは可能ですので、諦めずに訓練をしましょう。
(文:繁原稔弘)