退院されるまでには、数週間~3カ月ほどかかります。その間に家族など介護される方は、退院の準備をしておく必要があります。
既述のように、退院時には患者さまの歩行能力は骨折前に比べて1ランク低い場合が多いことから、退院までに、室内は移動しやすいように廊下や階段に手すりをつけたり、段差を小さくしたりしておく必要があります。また、杖やシルバーカー、車いすといった介護道具の準備も忘れないで下さい。これらの中には、介護保険の再認定を利用すれば用意できるものもありますので、事前にケアマネージャーさんなどに相談しておくことをお勧めします。
また、独居の方は退院後の生活様式に大きな変化が必要です。一番大切なことは、やはり家族のサポートでしょう。大腿骨近位部骨折をきたす方、特に高齢の方は、転倒するべくして転倒されています。この怪我を負った方の1年死亡率は10~20%といわれています。
つまりこの怪我を負った方は、その人生において大きな転換期に差し掛かったと考えても過言ではありません。安心して、退院後の生活を送る為にはご家族の介護に正面から取り組む決意が必要でしょう。
また機能回復のためには、退院後も通院、在宅、回復期リハビリテーションを進んで行うことは必須です。
福井智一氏
医療法人医誠会
医誠会病院
整形外科