知っておきたい!対処方法~大腿骨近位部骨折編~

大腿骨近位部骨折のリハビリテーション

大腿骨近位部骨折は、一刻を争う病気ではありません。
しかし、治療が遅れると生命に関わるため、早急な治療が必要です。

大腿骨近位部骨折編

(6)入院中に家族などがしておくべきこと

退院されるまでには、数週間~3カ月ほどかかります。その間に家族など介護される方は、退院の準備をしておく必要があります。

既述のように、退院時には患者さまの歩行能力は骨折前に比べて1ランク低い場合が多いことから、退院までに、室内は移動しやすいように廊下や階段に手すりをつけたり、段差を小さくしたりしておく必要があります。また、杖やシルバーカー、車いすといった介護道具の準備も忘れないで下さい。これらの中には、介護保険の再認定を利用すれば用意できるものもありますので、事前にケアマネージャーさんなどに相談しておくことをお勧めします。

また、独居の方は退院後の生活様式に大きな変化が必要です。一番大切なことは、やはり家族のサポートでしょう。大腿骨近位部骨折をきたす方、特に高齢の方は、転倒するべくして転倒されています。この怪我を負った方の1年死亡率は10~20%といわれています。
つまりこの怪我を負った方は、その人生において大きな転換期に差し掛かったと考えても過言ではありません。安心して、退院後の生活を送る為にはご家族の介護に正面から取り組む決意が必要でしょう。

在宅、回復期リハビリテーション

また機能回復のためには、退院後も通院、在宅、回復期リハビリテーションを進んで行うことは必須です。
特に最近は地域リハビリテーションの重要性もいわれるようになってきています。
これは、「人は住み慣れた所で、住み慣れた人と、住み慣れた環境で暮す事がもっとも幸せである。」という考えにのっとったもので、通院や在宅でのリハビリテーションの重要性がいわれるようになってきたことに由来します。

ですから、もし、入院した病院で通院リハビリテーションをしていない場合でも、近隣の病院で実施しているところを紹介してもらうようにしてください。

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執筆者の紹介

福井智一氏

福井智一氏

医療法人医誠会
医誠会病院
整形外科

昭和51年大阪生まれ
兵庫医科大学卒業

兵庫医科大学大学院を卒業後、兵庫医科大学整形外科学教室や北海道我汝会えにわ病院などを経て2012年4月から現職。
専門は股関節を中心とした関節外科