急性期を経て 1週間~3週間後に病状がある程度安定してきた『回復期』に行うのが「回復期リハビリテーション」です。なお、多くの場合、入院した病院ではなく、リハビリテーション専門の訓練室や専門病院などに転院して行われます。
具体的な方法としては、理学療法、作業療法、言語聴覚療法が行われます。
運動障害に関しては、歩行訓練や作業療法のリハビリテーションを行います。歩行訓練は、その名の通りに、まず立つことから始め、その後、杖や装具などを用いることで『歩く』訓練を行うリハビリテーションです。患者は、手すりにつかまったり、歩行器や、杖を使ったり、誰かに補助してもらったりして歩行します。
一方、作業療法は、日常の生活を取り戻す上で、必要とされる『作業』を訓練するリハビリテーションです。
具体的には、指を動かしたり、物を掴んだりすることなどから始まります。また、それと並行して、身の回りの動作ができるように、ベッドから車椅子への移乗する訓練などもします。
これらができるようになったら、次は洗顔や歯磨き、トイレ動作、着替え、入浴、文字を書く訓練などをします。
また、脳の言語を支配している領域(左半球)に損傷を受けた人で、上手く言葉がしゃべれない人(言語障害がみられる場合)には、言語聴覚士がリハビリテーションを行います。ただし、一口に言語障害と言いますが、大きく「失語症」と「構音障害」に分けられ、それぞれのリハビリテーションは異なります。いずれにしても、自分の伝えたいことを声にする訓練が行われます。
この他にも回復期には、先程紹介した最新のCI療法や磁気刺激、随意運動介助型電気刺激装置「IVES(アイビス)」を使い、より高度な機能の回復を図るリハビリテーションも行われます。
正門 由久 氏
<リハビリテーション科専門医>
東海大学医学部 専門診療学系 リハビリテーション科学 教授