脳梗塞のリハビリテーションの主流は運動療法や装具療法です(詳しくは別章で紹介)。しかし、それらの他にも、最新の研究や科学を導入して行われる、ボツリヌス療法や電気刺激、CI(Constraint-induced movement therapy)療法、反復大脳磁気刺激など、また、ロボット訓練などといった新しいリハビリテーションも注目を集めています。
ボツリヌス療法は、手や脚に無意識で筋肉に力が入ってしまう状態(痙縮)を避けるために、ボツリヌス毒素を筋肉に注入し、神経伝達物質に関与するタンパク質を破壊して筋肉を弛緩させる治療法で、力が入ってしまう筋肉に直接毒素を注射します。ただし、その効果は3~4ヶ月間しか持続しないため、その間に、運動療法などのリハビリテーションを行う必要があります。また、このボツリヌス療法と随意運動介助型電気刺激装置「IVES(アイビス)」を組み合わせたりもします。
正門 由久 氏
<リハビリテーション科専門医>
東海大学医学部 専門診療学系 リハビリテーション科学 教授