知っておきたい!対処方法
~脳梗塞のリハビリテーション~

脳梗塞のリハビリテーションのやり方

新しいリハビリテーションにより機能の回復も期待できるように

脳梗塞のリハビリテーション編

(1)具体的なリハビリテーション

脳梗塞のリハビリテーションの主流は運動療法や装具療法です(詳しくは別章で紹介)。しかし、それらの他にも、最新の研究や科学を導入して行われる、ボツリヌス療法や電気刺激、CI(Constraint-induced movement therapy)療法、反復大脳磁気刺激など、また、ロボット訓練などといった新しいリハビリテーションも注目を集めています。

ボツリヌス療法は、手や脚に無意識で筋肉に力が入ってしまう状態(痙縮)を避けるために、ボツリヌス毒素を筋肉に注入し、神経伝達物質に関与するタンパク質を破壊して筋肉を弛緩させる治療法で、力が入ってしまう筋肉に直接毒素を注射します。ただし、その効果は3~4ヶ月間しか持続しないため、その間に、運動療法などのリハビリテーションを行う必要があります。また、このボツリヌス療法と随意運動介助型電気刺激装置「IVES(アイビス)」を組み合わせたりもします。

IVESでのリハビリテーションの図

また、CI療法とは、片麻痺上肢に対するリハビリテーションの1つで、健常な手(健側上肢)を使えないようにしておき、麻痺した手(患側上肢)を段階的・集中的に訓練できるようにすることで、麻痺した手の改善を図ります。

経頭蓋磁気刺激法の図
反復磁気刺激は、正式には「経頭蓋磁気刺激法」と言い「回路を通る磁束が変化すると、この回路に起電力が生じる」という『ファラデーの電磁誘導の法則』を利用して体内に電気を発生させてリハビリテーションを行うものです。具体的には、主に8の字型のコイルを用いて急激な磁場を発生させ、脳を刺激することで弱い電流を誘起させて、脳内のニューロンを興奮または抑制させます。

そしてロボット訓練は、発達したロボット技術を取り入れたリハビリテーションのことで、具体的には、脳から腕の筋肉を動かすために送られる微弱な電流に反応して動くものやコンピューターを利用したものなどがあります。



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脳梗塞のリハビリテーション編
― 脳梗塞のリハビリテーションのやり方―

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監修

正門 由久 氏

正門 由久 氏

<リハビリテーション科専門医>
東海大学医学部 専門診療学系 リハビリテーション科学 教授

昭和31年生まれ

昭和57年慶應義塾大学医学部卒業
リハビリテーション医学会専門医、
指導医、認定臨床医
日本臨床神経生理学会認定医
(神経伝導・筋電図、脳波)
米国神経筋電気診断医学会
(専門医、正会員)