リハビリテーションをいつ始めるかは患者さんの状態により決められますが、一般的には、発症から24~48時間以内に寝返りをし、続いて、座る訓練(座位)やセルフケアなどが始められます。ただし誰でも同じというわけではなく、例えば、昏睡や神経徴候の進行、クモ膜下出血、脳内出血や重度の起立性低血圧、急性心筋梗塞などの持病がある場合には、リハビリテーションをすることで逆に悪化する可能性があるので注意する必要があります。
ちなみに、入院後72時間以内にリハビリテーションを開始することで、体幹機能を良好に保つことができるのはもちろん、機能が良好となり、再発リスクも抑えられ、かつADL(日常生活動作)の退院時到達レベルを犠牲にせずに入院期間が短縮されます。さらに、退院時の歩行状態が良くなり、その後の機能予後も良い傾向がみられるという報告があります。
こうしたことから現在は、脳梗塞はもちろん、各種の疾病で、十分なリスク管理をしながら、廃用症候群を予防し、早期のADL向上と社会復帰を図るために、できるだけ発症後早期から積極的なリハビリテーションを行うことが強く勧められるようになっています。
正門 由久 氏
<リハビリテーション科専門医>
東海大学医学部 専門診療学系 リハビリテーション科学 教授