最近の脳卒中診療を担う医療機関は役割分担が進んでいます。発症後数週間の急性期医療を行う急性期病院、急性期医療が終了した後のリハビリ医療、あるいはリハビリ医療と急性気医療の両方を担う病院を経て、機能回復が維持期に入ると長期療養を行う病院が担うか、あるいは在宅・療養で療養するという流れです。全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会の調査によると、回復期リハビリテーション病棟の平均在院日数は2カ月程度とされています。
ただ、重度の脳卒中の場合、とてもこの期間で退院することは難しいのが実情ですし、“完治”は難しく、それ以後も何らかの障害を抱えたまま生活を送ることになります。「昨日まで医療」「明日からは介護」といった具合に、明確に状態を切り分けることは難しく、「明日からは介護が中心だけれど、医療も必要」といった状況が一般的に起こります。退院したからといって完治したと考えるのは禁物です。
退院も、そうしたことを前提として迎える必要があります。
退院にあたっては、医師やリハビリテーションスタッフからさまざまな説明がありますが、ここでは本人の現在の状態だけでなく、将来、見込まれる状態についての予測についてもしっかりと聞いておくとよいでしょう。
宮崎陽夫氏
理学療法士
医療法人社団誠馨会総泉病院リハビリテーション部部長