第8回 子ども達のためのリハビリテーションを実施
リハビリテーションは、一般的には『障害のある人が最良の心身の状況を獲得し、年齢や障害の程度に応じ、その地域に住む人々とあらゆる面で同水準の生活がなされることである』とされています。また最近では、かつてのように手術をしてしばらくしてから取りかかるのではなく、できるだけ早期にリハビリテーションに取り組む方が、効果があるという方向に変わってきています。小児におけるリハビリテーションも同じで、そのため同院では、開院以来0歳児の段階からリハビリテーションが行われているわけです。
「もともと、早期治療から長期フォローまで、神経生理学と発達学との融合させた質の高い治療を提供するのがボバースコンセプトですから、当院のリハビリテーション部では現場主義での療法士の育成に力を注いできました」。
同院のリハビリテーション部は、理学療法科と作業療法科、言語聴覚療法科、教育研修科があり、それぞれの専門家がボバースコンセプトに基づいて、子どもの様子を理解し、一人ひとりに合った治療支援を行っています。「当院では、子どもにあった的確なハンドリングと正常発達の知識による、本人が主人公になる活動場面を工夫することが特徴です」。
「ボバースコンセプトに基づく治療体系が創始された時代は、脳障害は治らないとされていましたが、今は、脳の変化する可能性(可塑性)や適切な運動学習を行うプロセスに関する研究も進んでいて、早期治療の有効性が解明される時代となっています。ですから私たちは、脳の障害をよく理解し、科学的根拠を確認しながらも、脳障害の修復や発達の可能性が最も高い乳幼児期に、子ども達の障害の軽減と、将来の自立にむけた運動をできる限り身に付けておけるように考えて治療を行っています。ボバースコンセプトも残念ながら万能ではありませんが、それでもリハビリテーションを行うことで、少しでも子ども達の回復が図れることを期待されるなら、是非、当院で治療を受けていただけたらと思います」と鈴木センター長は言われます。
いずれにしても、大人と子どもは身体の構造が違うため、小児を専門とするリハビリテーションを提供する場を必要としている人にとっては、その専門の医療従事者が揃った「南大阪小児リハビリテーション病院」の存在は心強いものであることの間違いはないはずです。
(取材・編集:リハビリネット編集部)
鈴木 恒彦 氏
<保険医療機関 南大阪小児リハビリテーション病院
センター長>
<学歴>
昭和45年3月 | 東北大学医学部医学科卒業 |
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昭和50年3月 | 東北大学大学院医学研究科 (病態生理学)卒業 |
<職歴>
昭和45年4月 | 聖路加国際病院レジデント (研修医) |
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昭和50年4月 | 宮城県整肢拓桃園医長 (訓練部長) |
平成4年8月 | ボバース記念病院副院長 (学術担当) |
平成8年10月 | ボバース記念病院院長 |
平成10年5月~ 平成15年4月 |
韓国・高麗大学医学部臨床教授(リハビリテーション医学)併任 |
平成14年7月 | 大阪府立身体障害者福祉センター所長兼附属病院長 |
平成19年4月 | 大阪府立急性期・総合医療センター副院長 兼 障害者医療・リハビリテーションセンター長(大阪府理事) |
平成21年9月 | NTT東日本東北病院整形外科部長・リハビリテーションセンター長 |
平成24年5月 | 大阪発達総合療育センター長 |
<公職等>
日本脳性麻痺研究会世話人 | |
平成15年4月~ | 大阪府肢体不自由者協会理事 |
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昭和58年4月11日~ | 日本整形外科学会専門医 |
昭和63年9月25日~ | 日本整形外科学会スポーツ医 |
平成3年5月11日~ | 日本リハビリテーション医学会専門医・指導医 |
平成9年5月~ 平成22年4月 |
日本リハビリテーション施設・病院協会理事 |
~平成22年6月 | 日本リハビリテーション医学会評議員 |
社会福祉法人 愛徳福祉会 大阪発達総合療育センター
保険医療機関 南大阪小児リハビリテーション病院
〒546-0035
大阪市東住吉区山坂5丁目11番21号
tel:06-6699-8731
http://osaka-drc.jp/
<特徴>
脳性マヒや小児の整形外科疾患を持つ身体に障害のある小児の患者さんに対して総合的で適切な診断と最新で専門的な治療とリハビリテーションを提供している他、発達援助や入所および通所サービスをはじめとする療育も行っています。