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第6回 高齢化進む地域の医療・介護ニーズに応える

リハビリテーションの現場から
~医療法人社団誠馨会 総泉病院(千葉県千葉市)~

医療法人社団誠馨会 総泉病院
院長 大坊昌史 氏
機能でなく能力に着目した目標設定

大坊院長
大坊院長

特にリハビリテーションでは、医師だけでなく実際にリハビリテーションを提供する専門職者たちの「目利き」が重要になると大坊院長は説明します。回復期におけるリハビリテーションは怠ると状態はどんどん悪くなります。そんな悪化を食い止め、状態を維持、あるいは改善させていくことが主目的ですが、そもそも高齢者にとって、リハビリテーション自体、がなりの体力を要求します。そこで過度に負担をかけるとかえって身体全体の状態が悪くなってしまいかねません。患者の日ごとの状態を見据えながら、目標を定めていく必要があるのです。言うまでもなく、従来のように急性期、回復期、維持期という単純な流れでなく、合併症にも目配りしていく必要があります。

実際、リハビリテーションを行っている際のバイタルサインに理学療法士は目を凝らして留意していますし、言語聴覚士は食事介助と訓練を兼ねて患者の食事状態をチェックします。リハビリテーションにおける「危機管理」を担いつつ、これらの一連の作業の時の様子を、リハビリ計画書を策定した医師に伝え、再考も含めた判断材料を提供するのです。

リハビリの様子

そこで、患者の「できること」「していること」を、主疾患だけでなくさまざまな二次疾患、さらに認知症なども踏まえながら判断していくのです。そもそも複数の疾患を抱えた高齢者が、入院の原因となった疾患を患う前のような運動機能を取り戻すのは難しくなります。そこで無理に目標値を高いところに設定するのではなく、最低限、自分の住んでいた家、あるいは介護施設に戻った時に生活を続けるための機能回復を図るという考え方が必要になるのです。

大坊院長は「高齢者に対する医療では、『完治』を望むのは難しくなっています。むしろ、『悪化するのを防ぐ』と言った具合に理想と現実の妥協点を模索することも必要です。これまでの急性期医療では『身体機能回復』をひたすらめざすという姿勢が中心でしたが、今後は『歩く』ことよりも『孫の住んでいる家まで遊びに行きたい』といった具合に、機能よりも能力の課題設定のほうを重視する必要が出てきています。そうした患者の思いを医療者全員が共有する必要があるのです。その意味では、医療従事者も発想の転換が求められていると言えます」と語ります。

(取材・編集:リハビリネット編集部)

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先生の紹介

大坊 昌史 氏

大坊 昌史 氏

<医療法人社団誠馨会総泉病院 院長>

経歴
昭和54年3月 順天堂大学医学部卒
平成3年12月 加曽利病院(現千葉中央メディカルセンター)外科部長就任
平成8年4月 同副院長就任
平成20年4月 総泉病院院長就任

急性期医療の最前線から、療養型病床である総泉病院に院長に就任。 自身のキャリアを生かしながら、あらゆる患者さんへの、ふさわしい医療を提供すべく邁進している。

病院の紹介

医療法人社団誠馨会 総泉病院

〒265-0073
千葉県千葉市若葉区更科町2592
tel:043-237-5001
http://sousen.seikei-kai.or.jp/

<特徴>
総泉病院は1987年創設以来、一貫して高齢者の療養型病院として地域医療に貢献してきました。高齢者の特性を理解して、専門性の高いチーム医療をめざす一方で、患者、家族のみならず、職員も和めるゆとりある癒しの環境を整備しています。