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第6回 高齢化進む地域の医療・介護ニーズに応える

リハビリテーションの現場から
~医療法人社団誠馨会 総泉病院(千葉県千葉市)~

医療法人社団誠馨会 総泉病院
院長 大坊昌史 氏
多職種で患者の全体像を把握

ナースステーション

このように「急性期を脱した後でも気の抜けない患者」が大勢入院している病院の機能を維持するために、同院では医師が常勤医8人、非常勤医も常勤に換算すると14人を数えます。看護師は86人、そしてリハビリテーションには理学療法士23人、作業療法士12人、言語聴覚士3人が揃っています。このほか薬剤師、管理栄養士などのほか、介護関係でも介護支援専門員(ケアマネジャー)32人をはじめ、介護福祉士らスタッフも多数在籍しています。

病棟では看護師・介護士各6~7人で50人前後の患者をケアする体制を敷き、さらに薬剤師や管理栄養士も病棟を回って患者の状態に目を光らせています。複数の疾患を抱え、かつ急性期を脱したばかりの患者が大勢いるだけに、手厚いケア体制が必要ですが、看護師ばかりでなく他の医療専門職、生活支援を得意とする介護スタッフなどをバランスよく配置することで、患者にとってより最適なケア体制を組むことができるのです。この多職種による人員体制は急性期病院に引けをとりません。

また、こうしたそれぞれの職種が持っている患者情報を共有し、すり合わせるためのチーム医療体制も構築しています。たとえば薬剤師は病棟に常駐して患者の服薬を支援するだけでなく、患者の状況を踏まえて医師の診断をサポートするための意見具申を行います。また、患者に適切な栄養摂取を促すためのNST(Nutrition Support Team、栄養サポートチーム)もあり、こちらでは医師、看護師、管理栄養士、言語聴覚士、薬剤師、検査技師が参加してそれぞれの立場から患者の栄養状態の把握と促進に向けて話し合いを進めています。このほかにも院内感染の蔓延を防止する感染症対策チームなども設けられています。

リハビリ現場の様子

こうしたさまざまな職種の専門性を生かす工夫は、通常業務の中でも見られますが、とりわけそうした専門職間でのやりとりが頻繁にみられるのがリハビリテーションです。

リハビリテーション部ではリハビリスタッフの病棟担当制を導入して入院患者の様子に目を光らせていますが、リハビリテーションを行う訓練室と、病棟での患者さんの様子が違うことがよくあるからです。大坊昌史院長は次のように説明します。「医師の前や訓練室にいると、普段以上に『がんばってしまう』患者さんは少なくありません。そんな時でも『素』が出るのが生活空間である病室です。そこでの状態を把握することは、リハビリ計画を立てるうえでも欠かせません」

医師やリハビリスタッフの目の届かないところであっても、看護師、介護職員が目を配り、日々の状態変化を伝えてくれるのです。そうした情報は1カ月に1度のカンファレンス時だけでなく、電子カルテなどのITネットワークに記入されて共有し、さらに病棟の廊下で通りがかった際のちょっとした会話でも交わされます。こうした情報共有を日常的に行うことで、診察した時点での患者の状態が、病室、訓練室とそれぞれ異なっていたとしても、患者の全体像を把握できるわけです。

こうした状態把握をスタッフ総出で行うことは、高齢者へのケアにおいてはきわめて重要になります。「疾患を一本の木に例えるなら、従前の治療では主疾患が『太い幹』で、二次疾患などはあっても『細い枝』でした。しかし、現在の高齢者の医療では、主疾患の後遺症だけでなく、肺炎をはじめさまざまな疾患に対する注意も必要になります。主疾患という太い幹があるだけでなく二次疾患という枝もかなり『太い』のです」(大坊院長)

(取材・編集:リハビリネット編集部)

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先生の紹介

大坊 昌史 氏

大坊 昌史 氏

<医療法人社団誠馨会総泉病院 院長>

経歴
昭和54年3月 順天堂大学医学部卒
平成3年12月 加曽利病院(現千葉中央メディカルセンター)外科部長就任
平成8年4月 同副院長就任
平成20年4月 総泉病院院長就任

急性期医療の最前線から、療養型病床である総泉病院に院長に就任。 自身のキャリアを生かしながら、あらゆる患者さんへの、ふさわしい医療を提供すべく邁進している。

病院の紹介

医療法人社団誠馨会 総泉病院

〒265-0073
千葉県千葉市若葉区更科町2592
tel:043-237-5001
http://sousen.seikei-kai.or.jp/

<特徴>
総泉病院は1987年創設以来、一貫して高齢者の療養型病院として地域医療に貢献してきました。高齢者の特性を理解して、専門性の高いチーム医療をめざす一方で、患者、家族のみならず、職員も和めるゆとりある癒しの環境を整備しています。