第10回 オーダメイドのリハビリで地域の高齢者の自宅復帰を支える
患者さんの手でつくられた病棟のカレンダー
院内には患者さんやご家族がくつろげる施設が
多く設置されている
原副理事長は高齢者医療に対して、いくつかの疑問を持ち、常にそういった問題点の解決や緩和を考えていくことが医療法人としての使命であると話されます。
「例えば、当院の入院患者さんが退院後も診療が必要な場合、すべての患者さんに近隣の診療所が訪問診療を行うことは現状ではなかなか難しいかと思います。かといって自宅で車いすや、寝たきりに近い患者さんが診療所に行くことはご家族の負担も大きくなりますし、診療所に行けたからと言って、車いすの患者さんが余裕をもって入ることができる広い待合室などがすべての診療所に整っているわけではないと思います。
今後は地域のそれぞれの医療機関と連携をさらに推進し、外来の機能分化に取り組みたいと考えています。
リハビリに関しては、ケースにもよりますが、リハビリ患者さんの訓練や、身の回りのお世話をスタッフがやりすぎることにも疑問を抱いています。考えるべきは果たしてそれが本当に患者さんのためになっているのかということです。
現在患者さんの自立を促進できるような施設の設立を計画しています。
例えば、食事もこちらで作るのではなく、食材だけを準備して、食事は患者さんに作っていただくといった支援のしかたをやっていく施設です。その方が本当は自立の支援になるのではないかと考えています。
もちろん患者さんの状態に合わせた訓練や支援は必要ですが、「治癒・回復」ということを考えると、もとの生活に戻すという本質をとらえた取り組みが必要不可欠であると考えています。
疾患の治療から、リハビリ、在宅復帰、最後には看取りまで、地域の高齢者医療を支えるという使命を果たすために常にあらゆる可能性を考え、積極的に実践していきたいと考えています。」
原 祐一 氏
特定医療法人
原土井病院
副理事長
<経歴>
1994年、東京医科歯科大学卒業。特定医療法人 原土井病院
〒813-8588
福岡市東区青葉6丁目40番8号
tel:092-691-3881
http://www.haradoi-hospital.com/
<特徴>
原土井病院は40年以上の歴史のなかで長く東区の高齢者医療を担ってきました。
さらに特徴ある医療によって地域医療への貢献を目指しています。