第2回
骨粗鬆症(骨粗しょう症)は、活動性の低い人は進行していってしまいます。原因は、女性の閉経後のホルモンバランスの変化によって骨をつくる細胞の活動性が低下してしまうことで、これにより徐々に骨密度が落ちていってしまいます。骨密度が下がって筋力も低下すると、転倒しやすく、骨折も起こしやすくなります。
食生活の面でもカルシウム分の不足などはよく言われていますが、運動量が保てているかどうかが非常に重要だと考えています。高齢で家の中からほとんど出ないような方は気をつけなければいけません。紫外線を浴びないとビタミンが活性化しないので健康によくありません。外出して、日中気候のいいときに家の周りをちょっと散歩する、ちょっと買い物に出るなど、20分くらい歩くだけでも全然違うので是非やっていただきたいです。薬物治療と併行して、運動量を維持することが大切です。
リハビリというのは、元々は「re(再び) + habilitation(適応する)」という意味です。機能が低下した分を他の何かでカバーしながら、今までの環境にいかに適応していくかということです。手首が動かしにくくなったとしたら、もう片方の手でカバーしなくてはいけない。また、骨折などで片方の足の機能が悪くなった時に、杖を使ったり装具を使ったりして、ある程度、今までどおりの生活ができるようにしていきます。これまでの生活環境、活動範囲を狭めないように適応していくのです。
しかし、最初からリハビリのトレーニング強度を上げてしまうと続かなくなってしまいます。なるべく負荷を軽く、ハードルの低いところから始めて継続していくことが重要です。つい怠けてしまうことも多いですが、リハビリの必要性・意味を患者さんご本人にもよく納得していただくことが必要です。それがリハビリに対する意欲にも繋がっていきます。
一番大事なのは、筋力を保てるかどうかです。あまり負荷のかからないラジオ体操程度のようなものでも毎日続けていくことが大切です。現代社会では、体を動かさないことによる「廃用」(使わない機能が衰える)が多いと思うのです。定期的に運動をしていない都市生活者は特に気をつける必要があります。体操、散歩、ウォーキング、水泳など、やれそうなことから始めてみるといいでしょう。
(取材・編集:リハビリネット編集部)
西田 光 氏
むさしのタワーズ整形外科 院長
1993年 | 東京女子医大第2病院整形外科助手~副医局長、病棟班長 |
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1998年 | 大樹会 佐藤病院(鎌倉)整形外科 医長 |
2003年 | 井上外科胃腸科(現 世田谷井上病院)整形外科 医長 |
2005年 | 慈生会 野村病院(三鷹)リハビリテーション科 医長 (回復期リハビリテーション病棟) |
2011年 | むさしのタワーズ整形外科開設 |