ほとんどの場合、激しい痛みを伴う「椎間板ヘルニア」ですが、中には自覚症状が無い場合もあります。さらに、約8割の症状は、しばらく安静にしていれば自然に症状は軽くなると言われていますが、それでも残りの人には治療が必要になります。
治療は基本的に、まず保存療法が行われます。
痛みが強い場合は安静にしますが、動けるようでしたら腰にできるだけ負担がかからないように気を付けながら、普通の日常生活を送るようにします。
それと平行して、消鎮痛消炎剤や筋弛緩剤、ビタミン剤などの内服薬の投与と湿布・塗り薬などの外用薬を用いた治療を行います。また、経過によってはコルセットや腰部マッサージなどの理学療法などを行う場合もあります。
こうして様子を見ながら、あまり改善される様子が無ければ、局所麻酔剤などを注射する硬膜外ブロックや神経根ブロックなど鎮痛を目的とした治療を行います。
保存療法が功を奏した場合は、約半年ほどしてから、再びMRI検査などの画像診断をして、患部の状態を確認し、異常が見られなければ治療は終わりです。
しかし、こうした保存療法をおおよそ3ヵ月ほど続けても痛みが引かず、生活上の支障が大きかったり、足の筋力の低下や排尿障害が見られたりした時は、手術的治療法を行います。
椎間板から『はみだしたところ』を手術で取り除く
手術は、神経を圧迫しているヘルニアを取り除くことが目的で行います。
主な手術方法としては、背中側からヘルニアを摘出する「椎間板ヘルニア後方摘出術(Love法)」や「内視鏡下ヘルニア摘出術(MED法)」などあります(手術の詳細については別項で解説)。なお、いずれの手術も入院期間は短いのが一般的です。
また最近では、レーザーを使ったり、内視鏡を用いたりする経皮的髄核摘出術も行われるようになってきています。