知っておきたい!対処方法~大腿骨近位部骨折編~

救急搬送から治療

大腿骨近位部骨折は、一刻を争う病気ではありません。
しかし、治療が遅れると生命に関わるため、早急な治療が必要です。

大腿骨近位部骨折編

(4)大腿部近位部骨折の治療方法(その②)

基本的には高齢者の場合でも、手術を行ないますが、全身麻酔をする、手術すること自体が原因で命の危険が大きくなると判断した場合などには、やむなく保存療法を選択することがあります。

保存療法

手術をしなくても、動かさないようにしておくことで、数ヶ月たてば、一応、痛みは薄らいできます。車いすに乗ることや、場合によっては片方の脚で立てるようになることもあります。
しかし、骨は癒着していませんから、怪我をする前の状態には戻らず、歩行能力は必ず落ちます。また、動けるようになるまでの期間が自ずと長くなりますので、寝たきりに伴う合併症もきたしやすくなります。

これらの合併症を避けるには手術を行なうことが基本となります。 そして術後には、リハビリテーションを開始して機能の回復を図ります。

なお、一般に手術をしたとしても骨折後の歩行能力は、例えば、普通に歩いていた人なら杖が必要になったり、杖で歩いていた人は車いすになったりといったように、1ランク落ちると考えていただく方がいいでしょう。ただし、リハビリテーションの効果によって、それも大きく変わってきます。本人の意欲や痛みの程度、体力、合併症、痴呆の有無などのさまざまな要因が加わりますが、リハビリテーションはできるだけ早く、そして継続して行う必要があります。

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執筆者の紹介

福井智一氏

福井智一氏

医療法人医誠会
医誠会病院
整形外科

昭和51年大阪生まれ
兵庫医科大学卒業

兵庫医科大学大学院を卒業後、兵庫医科大学整形外科学教室や北海道我汝会えにわ病院などを経て2012年4月から現職。
専門は股関節を中心とした関節外科