ですから移動させずに、まずは本人が楽な姿勢を保つことが大切です。
なお、既に述べましたが、そうして待っている間には、骨折した部分からは少しずつですが出血が起こっています。結果として、総出血量は500~1000mlほどになるので高齢者は必ず貧血を起こします。ですから、この状態で長く放置しておくと、循環動態に支障をきたし、肝臓や腎臓など主要な臓器の障害や血圧が下がってショックを引き起こすなど、命に関わることを忘れずにいてください。
なお、もともと高血圧や糖尿病といった、いわゆる基礎疾患があるような方は、合併症の恐れもあるので、すみやかに病院へ搬送する必要があります。
いずれにしましても、救急車を呼ぶことをためらうべきでない病気であることは間違いないので、すぐに救急に電話してください。
福井智一氏
医療法人医誠会
医誠会病院
整形外科