知っておきたい!対処方法~大腿骨近位部骨折編~

役割と予防

大腿骨近位部骨折は、一刻を争う病気ではありません。
しかし、治療が遅れると生命に関わるため、早急な治療が必要です。

大腿骨近位部骨折編

(4)骨折を予防するためには

大腿骨近位部骨折は、転倒や転落などのほかに、骨粗鬆症が進んでいる方などの場合は、少し脚をひねったり、歩行中に何かに脚をひっかけたりというだけでも起こります。実例として、夜にトイレに行く際、ふとんの端やトイレの段差に引っかかって転倒するとか、ズボンを脱ぐ、はく行為中にバランスを崩し倒れるなども見られます。こうした転倒に結ぶつくものを排除するなど、予防できるものであれば予防しておくことにこしたことはありません。

予防の第一は、まず筋力とバランス能力の維持をするように身体をできるだけ動かすようにすることです。70才を超えるととたんに筋力とバランス能力落ちるといわれております。次に、家の中をできるだけバリアフリーにしたり、手すりをつけたりするなどの環境を整備しましょう。さらに骨粗鬆症の予防も図りましょう。

高齢者には過度な運動は難しい

筋力とバランス能力の維持ですが、高齢者には過度な運動は難しいことから、最近は、一日に1分間×3回ほど片足で起立する片脚起立運動(ダイナミックフラミンゴ療法)が薦められています。
もし運動ができない場合は、事前に大腿骨近位部の外側の位置に衝撃力吸収分散パッドを付けた「ヒッププロテクター」を着けてもらうようにするのもいいでしょう。
また、つまずくことやすべることを避けるために、段差のある所は明るくし、つまずきのもとになる電気コードや新聞紙、座布団などを床に置かないようにするのも有効です。

骨粗鬆症の予防は、最近骨吸収を抑制に効果がある治療薬が出てきていますので、これらの薬を服用することをお勧めします。

大腿骨近位部骨折編 ― 役割と予防 ―

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執筆者の紹介

福井智一氏

福井智一氏

医療法人医誠会
医誠会病院
整形外科

昭和51年大阪生まれ
兵庫医科大学卒業

兵庫医科大学大学院を卒業後、兵庫医科大学整形外科学教室や北海道我汝会えにわ病院などを経て2012年4月から現職。
専門は股関節を中心とした関節外科