最近、TVや新聞などでも取り上げられることが多くなったリハビリテーションに「ニューロリハビリテーション」があります。
一般的に言われるニューロリハビリテーションは、「Neurologic rehabilitation(神経疾患のリハビリテーション)」を指しますが、今のところ明確な定義は定められていません。また実際、「ニューロン=神経」を使用したリハビリテーションは、従来からも行われてきました。
しかし、そうした事実を踏まえた上で、一般的な概念で使われている「ニューロリハビリテーション」を説明すると次のようになります。
脳障害が起こった後、やや遅れてみられるようになる機能回復の多くは、中枢神経の可塑的変化や神経ネットワークの再構築によって起きることが多いことから、これを効率良く科学的知見に基づいて行うリハビリテーションのことを、研究機関によってはニューロリハビリテーションと呼んでいます。
具体的には、運動の機能回復の訓練において、障害後の大脳半球間相互抑制のアンバランスの是正や麻痺のある手足の動作に意味のある随意運動を起こさせることを目的に、随意運動介助型電気刺激装置「IVES(アイビス)」、反復大脳磁気刺激、経頭蓋直流電流などとともに装具の使用と適切な訓練方法などを行うリハビリテーションのことを言います。また同時に、イメージ療法や心理・精神的サポートも行うことで機能の回復を図ります。ちなみに「IVES」は、治療対象部位の筋活動電位に比例した電気刺激を筋肉に与えることで機能の回復を図る小型の機器で、これを使ったリハビリテーションにより、何十年も動かなかった手が動くようになったという報告もあります。
正門 由久 氏
<リハビリテーション科専門医>
東海大学医学部 専門診療学系 リハビリテーション科学 教授