知っておきたい!対処方法
~脳梗塞のリハビリテーション~

脳梗塞の治療法

新しいリハビリテーションにより機能の回復も期待できるように

脳梗塞のリハビリテーション編

(2)脳梗塞の治療

脳梗塞になった場合の治療法ですが、現在、最も効果があると言われているのが、(1)でも紹介した、点滴でt-PAという薬剤を投与する「経静脈血栓溶解療法(t-PA治療)」です。現在は、約4割の人が、症状がほとんどなくなる程度まで回復するという報告もあります。

それに次いで多いのが、同じく(1)で紹介した、カテーテルを詰まっている血管の手前まで入れて、そこで血栓溶解薬(ウロキナーゼ)を投与する「動脈内血栓溶解療法」です。ただし、この方法で治療が有効だと言われているのは、中大脳動脈という血管が詰まった症例で、かつ症状がひどく無く、発症6時間以内の場合に限られます。

t-PAの図
また、t-PA 治療の対象とならなかったり、t-PA 治療が行えなかったりする内頸動脈などの大きな血管が詰まった脳梗塞の場合、発症8時間以内であれば、カテーテルを使って行う「血管内治療」が行われます。なお日本での血管内治療は、現在、血栓を吸い取る「ペナンブラシステム」とコルクの栓抜きの形をした装置で血栓を絡め取る「メルシーリトリーバー」の使用が認められています。

その他、動脈硬化が原因で起こる脳梗塞に対しては、症状の進行や再発予防のために、抗血小板薬や抗凝固薬を投与する「抗血栓療法」が行われることがあります。



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脳梗塞のリハビリテーション編
― 脳梗塞の治療法―

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監修

正門 由久 氏

正門 由久 氏

<リハビリテーション科専門医>
東海大学医学部 専門診療学系 リハビリテーション科学 教授

昭和31年生まれ

昭和57年慶應義塾大学医学部卒業
リハビリテーション医学会専門医、
指導医、認定臨床医
日本臨床神経生理学会認定医
(神経伝導・筋電図、脳波)
米国神経筋電気診断医学会
(専門医、正会員)