第10回 オーダメイドのリハビリで地域の高齢者の自宅復帰を支える
リハビリ風景
「治癒・回復」
治療・回復とは、例えば、脳梗塞を発症してしまった、骨折してしまった前の日の身体の状況に戻すことであると考えています。昨今、入院期間や診療報酬の算定日数などの問題で早期から訓練を行い、在宅復帰を果たすことが目標とされがちですが、同院では第一に、「治癒・回復」を目指します。そのために新しい治療法や、医療機器導入などの検討を日々行い、少しでも患者さんの「治癒・回復」に貢献できるのであれば導入を決定します。
「病院グループによるバックアップ体制」
二つ目の視点は、病院グループによるバックアップ体制です。 現代医学ではどうしても脳梗塞による麻痺などが残ってしまう場合、「治癒・回復」を目指すリハビリを継続しながら、残された身体的能力の強化、ADL(日常生活動作能力)訓練を通じ、在宅復帰を目指します。在宅復帰には、多種多様な施設やサービスが必要ですが、原土井病院の多数のグループ施設、サービスにより退院後も途切れなくリハビリテーションサービスを受ける事ができます。
「ショートリハビリテーション」
三つ目の視点は、ショートリハビリテーションという考え方です。 身体能力は加齢により低下します。何らかの障害を有する方は、有していない方よりも著しい身体能力の低下が見られます。歩けなくなってからリハビリをするのでは遅いのです。特に高齢者では少しでも早くリハビリを開始していればと思ったことは数えきれません。その経験をもとに、歩行が不自由になってきた、 ADL能力が低下したと感じた場合には、短期入院による集中したリハビリテーションの実施を行うようにしています。
「食べること」
四つ目の視点は、「食べること」です。 誰しも「食」は人生の楽しみです。自分の口から食べることでストレスの解消や心の安定も得られます。リハビリテーション部 課長の宮本秀和先生は「多くの患者さまとの出会いで、〈歩く〉、〈トイレ〉、〈食べる〉の3つの日常動作が特に大切だと教えていただきました。この3つのうち、ひとつでも動作ができなくなると、日常生活を送ることができなくなってしまうのです。当院では〈歩く〉〈トイレ〉の訓練は勿論、歯科医師や栄養士等と連携し、嚥下造影検査(VF)や嚥下内視鏡検査(VE)等で嚥下(のみこみ)機能を評価し、最適の訓練方法や食事形態を常に検討しています。」
「オーダーメイドのリハビリテーション」
五つ目の視点はオーダーメイドのリハビリテーションを提供することです。
患者さまお一人お一人と向き合い、一人一人に合ったオーダーメイドのリハビリテーションプログラムを提供することです。リハビリテーション病棟 看護課長の西田さんは「教科書通りにやっていては、多くの患者さんがまた病院に戻ってきてしまいます。先端の技術や手法だけでは、本当にその方にあったリハビリテーションは提供できません。日々、患者さんとの会話で言葉と心を通わせる事ができる人間性も私達には求められます。特に体と脳をケアすることは重要ですが、患者さん本人のパーソナリティを十分理解し、どうしたら〈患者さんの戻りたい生活に戻れるか〉を検証し、実践しています。」
原 祐一 氏
特定医療法人
原土井病院
副理事長
<経歴>
1994年、東京医科歯科大学卒業。特定医療法人 原土井病院
〒813-8588
福岡市東区青葉6丁目40番8号
tel:092-691-3881
http://www.haradoi-hospital.com/
<特徴>
原土井病院は40年以上の歴史のなかで長く東区の高齢者医療を担ってきました。
さらに特徴ある医療によって地域医療への貢献を目指しています。