知っておきたい!対処方法~前十字靱帯損傷編~

役割と予防

「前十字靱帯(膝)」を損傷した場合、治療せずに運動を続けていると、膝の他の組織を傷つけることになるので、早期に治療を受けてください。

前十字靱帯損傷編

(2)前十字靱帯の損傷の問題点と注意点

ACL解剖
<前十字靱帯(ACL)>

既述のように、前十字靱帯(ACL)は、脛骨が大腿骨に対し前方へ移動しない役割をしている膝の中央にある靭帯(回旋も制御している)です(写真参照)。

その役割から、スポーツ時に大きな負荷がかかると、どうしても損傷する機会も多くなります。一度伸びてしまった前十字靱帯は一般的には元通りの緊張となることはありません。
アメリカでは、なんと年間10万人が受傷していて、その医療費は1000億円にものぼると推測され、社会問題にもなっています。
また、日本でも全国で年間1万件の手術が行われています。
ちなみに損傷と伸びる、切れるは同じ意味です。一度伸びてしまった前十字靱帯は、そのままにしていると元通りの緊張になることはありません。スポーツ復帰されるご希望がある方は手術をお勧めします。
膝が内に入るような着地をしている人は前十字靱帯損傷が起こりやすい傾向にあります。
起こった際の特徴としては、体内で「ブチッ」とか「ゴキッ」という音がする点があげられます。また、その直後には激痛が走ります。しかし、しばらくすると、その痛みは治まり、多少は動かしにくい感覚が残っても、歩行できる場合が多いのも特徴です。ただし、そのままスポーツのプレーの続行は、できません。
脛骨が大腿骨に対して前方へ移動するため、ジャンプ着地や急な方向転換などを行なった場合、脱臼感を感じます。それが何度も続けば半月板が傷んできます。
実際に、起こった時点で膝の中では30~50ml以上の大量の関節内出血が起こります。
前十字靱帯がのびたままであると、何度も膝くずれを繰り返し、膝関節の半月板や軟骨が悪化し、痛みや腫れの原因となります。特に競技レベルのスポーツ復帰を希望する人は、手術をして靱帯を治してから復帰する必要があります。

>>次のページ 「損傷が疑われた時の対処方法」

前十字靱帯損傷編 ― 役割と予防 ―

前十字靱帯を損傷してしまったら? 「知っておきたい対処方法」の一覧へ

執筆者の紹介

中山 寛 氏

中山 寛 氏

兵庫医科大学  整形外科 助教

昭和52年生まれ

医学博士、日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本体育協会認定スポーツ医専門はスポーツ整形外科、下肢関節鏡手術(股関節、膝関節、足関節)
前十字靭帯再建術は解剖学的2重束再建を行なっている。