知っておきたい!対処方法~大腿骨近位部骨折編~

大腿骨近位部骨折のリハビリテーション

大腿骨近位部骨折は、一刻を争う病気ではありません。
しかし、治療が遅れると生命に関わるため、早急な治療が必要です。

大腿骨近位部骨折編

(7)完治した後に注意すること

(5)入院中のリハビリテーション(その④)」で少し触れましたが、大腿骨近位部骨折は、完治した後でも何年後かに悪化する場合があります。もし、患者さまに次のような症状があらわれたら、すぐに受診するようにしてください。

・ふくらはぎや足に痛みが出たり異常な腫れがあったりした場合(血栓症の疑い)
・傷口が異常に赤くなる、熱をもつ、膿や血などが現れる場合(感染の疑い)
・胸の痛みや呼吸困難に陥ったりした場合(塞栓症の疑い)
・患部が痛く、38度以上に発熱した場合(感染拡大の疑い)
・手術した部分が再び痛んで歩けなくなった場合(ゆるみ、人工物周囲の骨折の疑い)

完治した後に注意すること

これらは、「(6)入院中に家族などがしておくべきこと」で紹介した合併症によって起こる症状です。
前述のように大腿部は、重い上半身を支えているため大きな負担がかかる部位です。ですから、再び骨にひびが入ったり、折れたりすることもあります。骨折した時と同様に、そのままにしておくと生命にかかわることも少なくありませんので、とにかく異常な状態がみられた場合は、遠慮することなく受診して下さい。
いずれにしましても、生命予後にも関わることですから、リハビリテーションも含めて、治療は長く継続して行う必要があることを忘れないでください。

大腿骨近位部骨折編 ― 大腿骨近位部骨折のリハビリテーション ―

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執筆者の紹介

福井智一氏

福井智一氏

医療法人医誠会
医誠会病院
整形外科

昭和51年大阪生まれ
兵庫医科大学卒業

兵庫医科大学大学院を卒業後、兵庫医科大学整形外科学教室や北海道我汝会えにわ病院などを経て2012年4月から現職。
専門は股関節を中心とした関節外科