知っておきたい!対処方法~大腿骨近位部骨折編~

大腿骨近位部骨折のリハビリテーション

大腿骨近位部骨折は、一刻を争う病気ではありません。
しかし、治療が遅れると生命に関わるため、早急な治療が必要です。

大腿骨近位部骨折編

(5)入院中のリハビリテーション(その④)

自立歩行

(4)入院中のリハビリテーション(その③)」で紹介しましたように、在宅復帰にむけた毎日の努力が必要であり、家族や介護する方には、そのためのリハビリの内容を理解して頂くことが大切です。リハビリを安全に進めるために、転びにくく歩きやすいゴム底の運動靴の着用を推奨する場合があります。靴は、紐の無い着脱しやすいものがよく、手術後は足がむくみやすくなっていることを考慮して、少し大きめのものを準備するのがお勧めです。とは言っても個人差がありますので、担当の理学療法士にお聞きください。

こうした入院中のリハビリテーションを経て、自立歩行ができるようになれば退院ですが、それでも転んで怪我をしない歩行能力を獲得するまでには、半年から1年はかかるでしょう。
さらに、既に述べましたように、術前に比べて1ランク低い歩行能力までにしか戻らない方が30~40%も見られますので、以前のような活動的な生活がおくれなくなる場合があることも忘れないでください。制限された生活になることを防ぐ為に、退院後も2~3ヶ月間はリハビリ通院などをする必要があります。その後も、全身状態、術前状態、骨折型により違ってきますが、最適なリハビリを行うために半年から1年までは定期健診が必要です。
特に人工物におきかえる手術を受けられたかたは、長期経過中におこるゆるみの問題もある為、年に1度は受診することを強くお勧めします。

いずれにしましても、息の長い治療が必要であることを忘れないで下さい。

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執筆者の紹介

福井智一氏

福井智一氏

医療法人医誠会
医誠会病院
整形外科

昭和51年大阪生まれ
兵庫医科大学卒業

兵庫医科大学大学院を卒業後、兵庫医科大学整形外科学教室や北海道我汝会えにわ病院などを経て2012年4月から現職。
専門は股関節を中心とした関節外科