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第8回 子ども達のためのリハビリテーションを実施

リハビリテーションの現場から
~社会福祉法人 愛徳福祉会 大阪発達総合療育センター
(大阪府大阪市)~

保険医療機関
南大阪小児リハビリテーション病院
センター長 鈴木恒彦 氏
個別の症状に合わせた オーダーメイドの治療を行う

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子どもを取り巻く人々がチームを組んでいます

前身の「聖母整肢園」は、日本ではどこも採用していなかった「ボバースコンセプト」による治療を行うことを目的に開設されたものでした。今では、マスコミなどでも取り上げられることもあり、少しはその名前も知られるようになった「ボバースコンセプト」ですが、昭和45年当時、まだ、その存在はほとんど知られていませんでした。それを梶浦一郎理事長が、効果があると信じて、日本で最初に導入されたそうです。

ボバースコンセプトは、1940年頃にイギリスのボバース夫妻が、王室の肖像画家のマヒに対して、当時の伝統的な関節可動域訓練や電気治療といった理学療法では改善できなかったことから、試行錯誤を繰り返して考えられたものです。脳性マヒなどの中枢神経系疾患がある子どもや成人の治療のための考え方で、障害のある人に対して、一人ひとりの病状や個別性に合わせて、その潜在する能力を評価し、発揮しやすくする手技をとることで症状の改善を図ろうとするものです。今、色々な病院でオーダーメイド治療がいわれていますが、昭和45年の時点で、同院では、既にその概念を取り入れられていたわけです。

「障がいがある子どもの発達を、鋭い観察と分析的思考によって脳の損傷によって生じている姿勢と運動の機能障害などを最新の科学で解釈して、一人ひとりに合わせたオーダーメイドの治療と日常生活の過ごし方を提案します。特に欧米では普及が進んでいて、療法士が第1選択としてこの概念を中枢神経疾患の治療に用いるようになっています」と鈴木センター長。

ボバースコンセプトの治療は、子どもと家族を中心に、医師や理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、介護福祉士、保育士、教師といった子どもを取り巻く人々がチームを組んで取り組みます。「すべての子どもが、全く同じ方法で同じ量の治療を一律に行うような取り組み方ではありませんし、常に最新の科学を取り入れて治療内容を変革していこうとします。そのため、子ども一人ひとりによって治療内容は異なるため、ご家族に治療内容や子どもの様子をわかりやすく説明しながら、支援について手を取り合って進める必要があります。そのために、地域における運動器障害児者を支援するネットワークを構築し、適切な医療を提供すると同時に、保健・福祉に関わる支援を進める必要もあります」。

(取材・編集:リハビリネット編集部)

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先生の紹介

鈴木 恒彦 氏

鈴木 恒彦 氏

<保険医療機関 南大阪小児リハビリテーション病院
センター長>

<学歴>

昭和45年3月 東北大学医学部医学科卒業
昭和50年3月 東北大学大学院医学研究科
(病態生理学)卒業

<職歴>

昭和45年4月 聖路加国際病院レジデント
(研修医)
昭和50年4月 宮城県整肢拓桃園医長
(訓練部長)
平成4年8月 ボバース記念病院副院長
(学術担当)
平成8年10月 ボバース記念病院院長
平成10年5月~
平成15年4月
韓国・高麗大学医学部臨床教授(リハビリテーション医学)併任
平成14年7月 大阪府立身体障害者福祉センター所長兼附属病院長
平成19年4月 大阪府立急性期・総合医療センター副院長 兼 障害者医療・リハビリテーションセンター長(大阪府理事)
平成21年9月 NTT東日本東北病院整形外科部長・リハビリテーションセンター長
平成24年5月 大阪発達総合療育センター長

<公職等>

日本脳性麻痺研究会世話人
平成15年4月~ 大阪府肢体不自由者協会理事
昭和58年4月11日~ 日本整形外科学会専門医
昭和63年9月25日~ 日本整形外科学会スポーツ医
平成3年5月11日~ 日本リハビリテーション医学会専門医・指導医
平成9年5月~
平成22年4月
日本リハビリテーション施設・病院協会理事
~平成22年6月 日本リハビリテーション医学会評議員
クリニックの紹介

社会福祉法人 愛徳福祉会 大阪発達総合療育センター
保険医療機関 南大阪小児リハビリテーション病院

〒546-0035
大阪市東住吉区山坂5丁目11番21号
tel:06-6699-8731
http://osaka-drc.jp/

<特徴>
脳性マヒや小児の整形外科疾患を持つ身体に障害のある小児の患者さんに対して総合的で適切な診断と最新で専門的な治療とリハビリテーションを提供している他、発達援助や入所および通所サービスをはじめとする療育も行っています。