高齢者だけなく、年齢が若い人であっても腰や膝など痛みを感じて、日常生活に支障をきたしている人は多くいます。
その原因は、いろいろとありますが、それらの中の1つに、誤った姿勢によるものがあります。
人は二足歩行をするようになり、それによって脳が発達しました。
今、成人の脳は5㎏ほどあって、それだけの重量を立っている間、身体は支えているわけです。
人は、それが自然にできるように生理的カーブである『S字湾曲』の身体を手に入れました。
S字湾曲とは、背骨(脊柱)の形のことを言います。背骨は、横から見ると緩やかにS字を描くような形をしていることから、そう呼ばれています。
背骨が緩やかなカーブは、重たい頭を支えるためのサスペンションの役割を果たしています。
仮に背骨が、もし真っ直ぐのままであれば、頭の重みで、動かすとすぐに折れてしまうでしょう。
ちなみに、生まれたばかりの赤ん坊の背中は弓形をしていて『首が据わっていない』状態にあります。
その後、3か月ぐらいすると頸椎が前に出て、重力に逆らえるようになって、やっと『首が据わる』わけです。
そして、約半年たつと胸椎が曲がってきて、今度はお座りができるようになり、さらに1年ぐらいたって腰椎がせり出し、背骨がS字形になって、始めて立ち上がることができるようになります。
この背骨のS字のカーブが、加齢や何らかの原因で緩くなったり、逆に強くなったりすると、サスペンションの役目が弱くなってしまいます。
すると人の身体は、自然に、それを補おうとして、今度は全身の筋肉を使って支えようとします。その結果、加重が首や背中にかかり、それらの筋肉が疲労し、やがて痛みを発することになります。
そしてさらに、筋肉でも支えきれなくなってくると、身体は自然に他の部分のカーブを強めたり弱めたりして、それをカバーしようとします。
よく見かける腰が曲がった高齢者の方などは、その結果なのですが、そこまでいかなくても、猫背やストレートネック、脊柱側湾症などが症状として現れることになります。