知っておきたい!対処方法~関節リウマチ編~

家で日常的に行えるリハビリテーション

関節に炎症が続いて徐々に破壊が進み、やがて機能障害を起こしてしまうのが「関節リウマチ」です。

関節リウマチ編

(4)効果的な運動(その③)

(その②)までで紹介した運動は、関節をこわばらせないことが目的で行う運動でしたが、それ以外にも筋肉の運動が必要であることは、既に紹介したとおりです。
その筋肉の運動には、次のようなものがあります。

●筋肉の運動
筋肉の運動は、これまでのように関節をこわばらせないことが目的で行う運動と違って、関節をスムーズに動かすために重要な働きをしている筋肉を強化することを目的として行います。特に、下肢にある大腿骨を挟んでいる「大腿四頭筋」を鍛えることが有効です。
イスに座った状態で、片足ずつ膝を太股が張ったという感じがするまでゆっくり水平に延ばしてそこで5~10秒ほど止めます。そしてゆっくり下ろします。これを10回程度、左右ともに行います。
なお、痛みを感じるようでしたら止めてください。ただし、栗かうぇしになりますが、あくまでも無理はしないことは忘れずに。

●腰の運動
寝た状態で腰をあげて、身体をくの字の状態にしたまま3~5秒静止させます。

●膝の運動
イスやベッドに座って足を少し浮かせた状態で両方の足首に丸い紐をかけて、それが落ちないように広げながら左右の足を交互に前後させてください。その際、足を前に出したら5秒ほど静止させます。それを左右ともに行ってください。

これら以外にも、いろいろな各関節の運動がありますが、いずれの運動も行う場合は、主治医や理学療法士に「どの運動を、いつ、何回ずつ行うか」と相談をして、指示を受けてからするようにしてください。
なぜなら、過度な運動負荷は神経障害、腱断裂などの合併症が出る可能性もあるため病期にあわせたリハビリテーションが必要だからです。

日常生活動作を維持する

関節リウマチの治療は、病気の進行を抑えることに加えて痛みを和らげることと日常生活動作を維持することが基本です。

薬物療法と手術療法に加えて基礎療法とリハビリテーションは、患者のADL(日常生活動作)QOL(生活の質)向上に不可欠なものですから、無理のない範囲で継続することが大切だということを忘れずに!
いずれにしましても、関節リウマチの治療は、病気の進行を抑えることに加えて痛みをとることが基本になります。

関節リウマチの治療は、基礎療法、薬物療法、手術療法、リハビリテーションが、4 本柱になりますが、それらの中でもリハビリテーションは、患者さんのQOL向上に不可欠なものですから、痛みなどがあって大変かもしれませんが、是非、継続して行ってください。

(文:繁原稔弘)

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監修者の紹介

福井智一氏

福井智一氏

医療法人医誠会
医誠会病院
整形外科 部長

昭和51年大阪生まれ
兵庫医科大学卒業

兵庫医科大学大学院を卒業後、兵庫医科大学整形外科学教室や北海道我汝会えにわ病院などを経て2012年4月から現職。
専門は股関節を中心とした関節外科