脳の左半球の言語を支配している言語野(主に右半球)に損傷があった時に、言語障害が多く起こることが分かっています。
ですので、必ずしも脳卒中になった人の全てに言語障害が出るとは限りませんが、ただ、思ったことを口にできなかったり、相手が言っていることが理解できなかったりすることは、相当なストレスになりますから、言語機能の回復は、非常に重要になります。
言語障害には、大きく「失語症」と「構音障害」の2種類があります。
「失語症」は、聞く・話す・読む・書くといった言語機能に障害が出るものです。一方、「構音障害」は、舌や唇、あごといった話すために必要な筋肉に障害が起こるもので、筋肉が正しい動かないため発音ができなくなります。
このように失語症と構音障害は異なるもののため、同じ言語障害ですが、リハビリテーションの方法もそれぞれ異なっています。手や足の場合と違い、特殊な訓練が必要なことから言語障害のリハビリテーションは、言語聴覚士という国家資格を持った専門家が行います。
なお失語症のリハビリテーションですが、発症してから2週間ぐらいまでが、最も回復に適しているといわれています。ですから、できるだけ早くから始められます。ただし、失語症のリハビリテーションはじっくりと行っていくことも大切なため、なかなか治らなくても焦らす根気よく続けていくこと大切です。一方、構音障害のリハビリテーションは、話をするための筋肉を使うトレーニングをすることで、機能の回復を図ります。
池永 透 氏
畷生会脳神経外科病院
脳神経外科 部長