退院し、元の住まいに戻る場合、何らかの補修工事が必要になることが多いのですが、ここで強調しておきたいのは「必ず医療・介護の専門家の意見を聞いてから工事は実施していただきたい」ということです。
病院で患者さんを元の住まいに送り出す際、迎え入れるご家族が勇んで近所の大工さんなどに頼んで早々に手すりなどを取り付けてしまうことがしばしばあります。しかし、病院側でこれまでどのようなリハビリテーションを実施し、本人がどのような状態になっているかを度外視して補修しても、その多くは実効性に乏しく、“徒労”に終わってしまうことが多いのです。
たいてい、介護保険の申請を出さずに自費で進めてしまっています。これは介護保険で受けられるサービスを、費用を抑える(介護保険では自己負担は1割で利用できます)機会を逃しているだけでなく、本人にとって本当に必要な支援体制の構築をも逸していることになるのです。
手続きが面倒でも介護保険サービスの申請をし、ケアマネジャーを呼んで専門家のアドバイスをもらってから、支援体制を構築していただきたいものです。
宮崎陽夫氏
理学療法士
医療法人社団誠馨会総泉病院リハビリテーション部部長