第4回
さまざまなスタッフがいるスタッフステーション
医師、看護師、介護福祉士、リハビリスタッフ、社会福祉士、薬剤師、管理栄養士、あるいは退院後の生活支援も調整するソーシャルワーカーなど、さまざまな専門職種がそれぞれの専門知識を持ち寄ってひとりの患者に接する「チーム医療」体制を敷いている点も同院の特徴の一つです。そのような姿勢は病棟内の呼称にも現れています。病棟で看護師らが作業する場所は一般的には「ナースステーション」と呼んでいますが、同院では開設した2002年から一貫して「スタッフステーション」の名称を掲げています。「ステーション」には看護師だけではなく、医師、リハビリセラピスト、薬剤師らさまざまなスタッフもいるのだというメッセージが込められているのです。
もちろん呼称だけではありません。通常、病院では医師は医局、看護師はナースステーション、薬剤師は院内の薬局とそれぞれの「帰属先」がありますが、同院では「スタッフステーション」のみ。ユニフォームも医師から事務員まで、カラーのバリエーションこそあれ、基本的に“お揃い”で、石川理事長自身も同じものを身につけています。「着替えるロッカールームも同じ。私の隣で若い職員が着替えています」と石川理事長は笑います。
とはいえ、それぞれの専門領域で学び、技術を磨いてきた医療スタッフが集まるのですから、異なる考え方や視点が入り乱れることも珍しくありません。そこで登場するのが、11人のチームマネジャーです。現在は看護師、理学療法士、言語聴覚士出身のスタッフが、それぞれの職種を離れてチームマネジャーとなり、中立的な立場から各専門職の意向を吸い上げ、患者さんにとって最善のケア体制を整える調整役を務めています。薬やリハビリなどさまざまな医療知識が求められますから、誰でもなれるというわけではありません。石川理事長ら幹部が専門知識を有し、かつマネジメント能力に長けている人を見つけ出して任命します。
このチームマネジャーは各病棟に二人、外来、訪問部門に一人ずつ配置する形をとっており、看護師やリハビリスタッフのシフト表づくりも担います。石川理事長は「これが重要な仕事なのです」と説明します。
年中無休、365日でリハビリが行える
同院では年中無休、365日でリハビリを行える体制を整えています。つまり、日曜祝日、正月、お盆を問わず患者さんが必要とするリハビリテーションを提供できる体制を用意しておかなければなりません。それには365日、1日も欠かすことなくさまざまな職種が出勤している必要があります。たとえばある患者さんの担当スタッフが休みだったら、その患者さんのリハビリも休み、というわけにはいきません。一方、医療スタッフも、適宜休みを取らなければ身体がもちません。そこで、患者さんが常に必要なリハビリをできるように、スタッフの都合、経験などを見据えてシフトを組んでいるのです。
(取材・編集:リハビリネット編集部)
石川 誠 氏
<医療法人社団輝生会
初台リハビリテーション病院 理事長・院長>
全国回復期リハビリテーション病棟協議会理事長
医療法人社団輝生会
初台リハビリテーション病院
〒151-0071
東京都渋谷区本町3丁目53-3
tel:03-5365-8500
http://www.hatsudai-reha.or.jp
<特徴>
急性期病院から発症後1カ月以内に患者を受け入れ、住み慣れた地域や自宅で輝いて生活してもらうために、十分な回復期のリハビリテーション医療を提供しています。