知っておきたい!対処方法~前十字靱帯損傷編~

前十字靱帯損傷のリハビリテーション

「前十字靱帯(膝)」を損傷した場合、治療せずに運動を続けていると、膝の他の組織を傷つけることになるので、早期に治療を受けてください。

前十字靱帯損傷編

(7)膝を守る装具について

ニーブレース

前十字靭帯を損傷したという診断がでた場合、再建手術をするにしても、しないにしても、とりあえず膝を守るための装具(プレース)を装着する必要があります。
特に膝のブレースは、損傷したのが、骨か軟骨か靭帯か半月板か、それぞれによってハードさや長さなど(固定強度)が異なります。 さらに、損傷程度はもちろん、初めてか再発か、あるいはどんなスポーツをしていて、どのポジションなのかによってもブレース・タイプは異なってきます。
どのタイプにしましても、基本的には「的確な損傷の部位診断と、その部位だけの最小限の固定」を行うことが目的に選ばれます。的確なブレースを選ぶことで、安全かつ早期の現場復帰にも関わってくるからです。
ブレースの中でも、特に膝用のものを「ニーブレース」と言います。代表的なものに膝のサポーターがあります。
このニーブレースですが、病院で必要と判断された場合、病院から装具屋さんを紹介するのが普通です。
基本的には、膝と言えでも個人個人によってサイズは違いますから、まず採寸してオーダーメイドで作ります。ちなみに価格ですが10万円以上すると考えてもらっていいのですが、ただ健康保険の対象になっていますので、少し高いと思われるかも知れませんが、後で正規の手続きをすれば返ってきますので安心してください。
これまで述べてきましたように、前十字靱帯を損傷した場合の治療には時間がかかります。膝は立っている間、常に自分の体重がかかるからですが、重力がある限り、それを回避することは不可能です。それだけに、膝にかかる負担を少しでも逃し、膝の安静を保つためには膝のサポーターなどニーブレースを積極的に使う必要があります。
ニーブレースを装着していれば、再建後の弱い靭帯でも、ある程度は異常な膝の動きを抑制してくれます。また、仮に保存療法を選択した場合であっても、日常生活における膝の安全を守ってくれますので、日常生活を送ることができます。
ただし、ニーブレースをしていても過信は禁物ですので注意してください。

>>次のページ 「手術した後に注意すること」

前十字靱帯損傷編 ― 前十字靱帯損傷のリハビリテーション ―

前十字靱帯を損傷してしまったら? 「知っておきたい対処方法」の一覧へ

執筆者の紹介

中山 寛 氏

中山 寛 氏

兵庫医科大学  整形外科 助教

昭和52年生まれ

医学博士、日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本体育協会認定スポーツ医専門はスポーツ整形外科、下肢関節鏡手術(股関節、膝関節、足関節)
前十字靭帯再建術は解剖学的2重束再建を行なっている。