知っておきたい!対処方法~前十字靱帯損傷編~

前十字靱帯損傷の治療

「前十字靱帯(膝)」を損傷した場合、治療せずに運動を続けていると、膝の他の組織を傷つけることになるので、早期に治療を受けてください。

前十字靱帯損傷編

(1)保存療法とは

既述(前十字靱帯損傷編 ― 役割と予防 ―)のように前十字靱帯を損傷した場合の治療法には、大きく手術をしない保存治療手術治療があります。
どちらを選ぶかは医師の診断によりますが、そのまま治療せずに放置しておくと、既述のように、半月板や軟骨の損傷を引き起こすことが可能性は高いことは確かです。日本整形外科学会のガイドラインでは、活動性の高い若年者には、手術を念頭に置いた治療が必須となっています。つまり若い人はできるだけ手術をした方がいいということです。
もっとも、中高年であっても手術治療をすれば、若年者と変わらない結果は得られます。しかし、その一方で、治療せずにそのままにしておく保存療法でもレクリエーションレベルの活動には支障が出ない場合もあります。ですので、実際には、その患者の活動性や合併損傷、治療プログラムへの参加が可能かなどを考慮して手術をするべきかどうかを判断します。
それでもやはりスポーツをする人は、不安定な膝の動きで、今後は半月板を損傷したりする可能性がありますから、できれば手術することをお勧めします。

その保存治療ですが、具体的には前十字靱帯に負担がかからないような肢位を固定する方法が行われます。装具を用いて、脛骨が大腿骨の前方や内旋位に動かないようにするわけです。治りにくい前十字靱帯ですが、そのまま固定しておくことで自然治癒するのを待ちます。

前十字靱帯損傷の治療

ただし固定している間、足は使わないわけですから、筋力低下や関節可動域に影響が出ます。そのため、機能の回復訓練、いわゆるリハビリテーショントレーニングは必要です。また、損傷前の状態や、手術で再建した靱帯ほどの強度はない可能性も高いので、無理はしないようにしましょう。

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前十字靱帯損傷編 ― 前十字靱帯損傷の治療 ―

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執筆者の紹介

中山 寛 氏

中山 寛 氏

兵庫医科大学  整形外科 助教

昭和52年生まれ

医学博士、日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本体育協会認定スポーツ医専門はスポーツ整形外科、下肢関節鏡手術(股関節、膝関節、足関節)
前十字靭帯再建術は解剖学的2重束再建を行なっている。