知っておきたい!対処方法
~乳がんのリハビリテーション~

乳がんのリハビリテーション

リハビリテーションは日常生活を取り戻すのに必要不可欠

乳がんのリハビリテーション編

(1)乳がんの治療方法(その1)

乳がん治療の図

もし乳がんと診断された場合には、できるだけ早く治療をしなくてはなりません。

他章でも触れましたが、現在、乳がんの治療として行われているものとしては、主に「外科治療」、「放射線治療」、「抗がん剤治療」、「ホルモン治療」があります。

外科治療では、これまでは、乳房をすべて切除してしまう「乳房切除術」であっても、がんが発見された乳房の一部だけを切除する「乳房部分切除術(乳房温存療法)」であっても、腋の下のリンパ節を全て切除し、胸の筋肉は保存する手術が行われてきました。

しかし最近では、例えば、監修者である仁尾クリニックでは、腋窩リンパ節の切除(郭清)は、術前に画像診断などでリンパ節に転移がないと診断され、さらに、センチネルリンパ節の患部の一部を切り取り、顕微鏡などで調べる検査(生検)か、がん遺伝子の発現を調べる検査(OSNA法)を行ない、もし陰性であれば除去はしていません。また、リンパ節転移が疑われたとしても、その程度に応じてレベル-IからⅡまでの切除で済ますなど、従来のように全てのリンパ節を切除するレベルⅢ郭清が行われることはありません。

また、乳がんが見つかってもすぐに手術せずに、手術の前に抗がん剤を使用した化学療法を行ってがんを小さくする「術前化学療法」や、女性ホルモンであるエストロゲンの刺激により増殖する乳がんに対して、それを抑制する薬を使った「内分泌療法(ホルモン療法)」などを行うことで「乳房部分切除術(乳房温存療法)」に持ち込むようにする治療も行われるようになっています。



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乳がんのリハビリテーション編
― 乳がんのリハビリテーション―

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監修

仁尾 義則 氏

仁尾 義則 氏

<乳腺外科医>
医療法人喜水会 乳腺外科 仁尾クリニック 院長

昭和27年生まれ

1976年京都大学医学部卒業後、京都大学医学部第二外科入局。その後、赤穂市民病院外科、京都大学大学院を経て、UCLA留学。帰国後、京都大学第一外科助手、島根大学医学部第一外科助教授、児玉外科、十条リハビリテーション病院を経て、2008年4月より現職。2014年12月までに、約4400例の手術を行なう(乳腺疾患約2520例、甲状腺疾患約180例、消化器疾患約1350例、その他約370例)。