回復期のリハビリテーションが進むと、いよいよ退院となります。
しかし、退院したからといってリハビリテーションは終わりではありません。
次は、家で行う「維持期のリハビリテーション」が待っています。
維持期のリハビリテーションは、生活すること自体がリハビリテーションであるともいえます。病院とは違って、歩くことはもちろん、食事をしたり歯をみがいたり、トイレに行ったりなど日常生活を送るためには、箸や歯ブラシといった道具を使う必要がありますし、ドアを開けないといけなかったり、場合によっては階段や段差を上がり下がりしたりする必要があるからです。
こうした行為は、元気な時に比べてとても時間がかかるでしょうが、患者さんにとっては、大切な訓練でもあるのですから、自分でできることは自分で行うようにさせてください。そうしなければ、せっかく病院で苦労してリハビリテーションを行い、回復してきた機能が、また元に戻ってしまう場合が多いからです。
ただし、だからといってするのが難しいことを無理矢理に行うと、今度は転んで骨を折ったり、怪我をしたりすることもあります。ですから、あくまでも、自宅でのリハビリテーションでは、何を本人にさせて、何を手助けするのかを専門家のアドバイスを受けて、あらかじめ決めておくのがいいでしょう。
的確なリハビリテーションをすれば、80%前後の人が歩けるようになるという統計もあるから、あきらめずに頑張ってください。
池永 透 氏
畷生会脳神経外科病院
脳神経外科 部長