知っておきたい!対処方法~関節リウマチ編~

自分で自分を攻撃する病気が「リウマチ」

関節に炎症が続いて徐々に破壊が進み、やがて機能障害を起こしてしまうのが「関節リウマチ」です。

関節リウマチ編

(2)リウマチがおこる理由

どうして、ひどい腫れと痛みを伴う「関節リウマチ」がおこるのでしょうか?
原因は、今のところはっきりとは分かっていません。なぜ、炎症が続くのかということも不明です。

人間を含めて生物は、体内に侵入してきた細菌やウイルス、あるいは体内で発生したがん細胞などの外敵や異質なものに対して、これらを排除する免疫という防御システムを備えています。私たちが風邪などの病気にかかっても、やがて治るのは、この免疫システムがあるからです。

ところが、何らかの原因でこの免疫システムに異常が生じると、自分の身体の成分や組織を外敵と判断してしまう場合があります。そうなると免疫システムは自分の身体や組織を外敵だと誤解して攻撃し、排除しようとします。この外敵を攻撃、排除するための反応が炎症です。免疫システムの異常により、正常な組織に炎症がおこって、それが長期間続くことで、やがて組織は破壊されることになります。

関節リウマチでは、関節を包む関節包の内側にある非常に薄いけれども関節を動かすのに重要な役割を果たしている「滑膜(かつまく)」に炎症がおこります(これを「滑膜炎」といいます)。

何をきっかけに免疫システムの異常がおこるのかは、分かっていません。何らかの感染やストレス、身体の中のホルモンのバランスの乱れなどをきっかけに、関節の滑膜に炎症がおきて滑膜が腫れます。その状態が続くと小さな血管が増え、また、滑膜組織の中でさまざまな細胞が増殖して「パンヌス」と呼ばれる状態になります。

パンヌスは腫れ上がるだけではなく、軟骨表面に拡がって軟骨を破壊したり、骨と軟骨の境界部分や靱帯(じんたい)の付着部から関節直下の骨の中へと侵入したりして、関節を破壊していきます。

リウマチ

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監修者の紹介

福井智一氏

福井智一氏

医療法人医誠会
医誠会病院
整形外科 部長

昭和51年大阪生まれ
兵庫医科大学卒業

兵庫医科大学大学院を卒業後、兵庫医科大学整形外科学教室や北海道我汝会えにわ病院などを経て2012年4月から現職。
専門は股関節を中心とした関節外科