知っておきたい!対処方法~呼吸器のリハビリテーション編~

どのようなリハビリテーションを行うのか

「呼吸器系疾患」は、その名の通り、対象となる部位が多いため、
多様な症状が見られるのが特徴になっています。

呼吸器のリハビリテーション編

(2)具体的なリハビリテーションのやり方

具体的なリハビリテーションのやり方
具体的なリハビリテーションのやり方

専門の医師や理学療法士などの指導を受けながら行われる包括的呼吸器系リハビリテーションの具体的なやり方には、次のようなものがあります。

■口すぼめ呼吸・腹式呼吸(呼吸トレーニング)
息を吸う場合は、意識して横隔膜を動かし、鼻から吸って、口から息を吐き出します。
その際に、口をすぼめてゆっくり吐き出すようにします。
その形から「口すぼめ呼吸」と呼ばれているわけですが、口をすぼめることで、気道内圧が高まり、気道閉塞を防止することができます。なお腹式呼吸をすることで、1回の換気量が増え、動脈血酸素分圧も上昇します。
■呼吸介助法
介助者が手で胸を押して呼吸を助ける方法で「用手胸郭圧迫法」とも言います。
慢性呼吸不全に罹ると胸郭の動きが低下することが多いため、呼吸介助法を行うことで呼吸が楽になり、呼吸筋疲労が改善されることが期待できます。
また、呼吸介助法をすることで、排痰も促進できます。
ちなみに、家族が呼吸介助法を習得しておくと、喘息発作時や呼吸困難時に息苦しさをいち早く軽減することが可能です。
■呼吸体操
呼吸力を開発することを目的とする「呼吸体操」は、呼吸筋はもちろん、全身の筋力強化や柔軟化、疲労解消に役立ち、さらに、呼吸法のトレーニングにもなります。
特に空気の通り道である気管支等に炎症性の病変が生じ、 慢性的に空気の流れが悪くなり呼吸困難を起こす病気である「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」に効果があると言われています。
■排痰法
気道が開き呼吸が楽になるとともに気道感染を防止するのが「排痰法」です。
痰が常に肺や気道の中にたまった状態でいると痰で空気の通り道が狭くなるため、息苦しくなる場合があるからです。
さらに高温・多湿の状態の痰は細菌など絶好の繁殖の場となるため、感染が起こる場合もあることから、痰を体外に輩出する必要があります。
具体的には、深呼吸を5回ほど繰り返して『ハー』と勢いよく息を吐きし、軽く『コホン』と咳をして痰が出れば成功です。
■筋力トレーニング・歩行トレーニング
理学療法士の指導の下、一般的な疾患のリハビリテーションでも行われる筋肉の有効な酸素利用を促進し、体力や活動性を高めるのに効果がある筋力トレーニングや歩行トレーニングなどの運動療法も行われます。
特に呼吸器系疾患の場合は、息切れや動脈血酸素飽和度、心拍数などの様子を見ながら進める必要があります。

呼吸器のリハビリテーション編 ― どのようなリハビリテーションを行うのか ―

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監修

圓尾 圭史 氏

圓尾 圭史 氏

<整形外科医>
兵庫医科大学
整形外科 助教

<略歴>
・兵庫医大卒業  同大学整形外科入局
・兵庫医科大学 大学院卒業(2006年卒業)
・宝塚市立病院
・兵庫医科大学助教
・サンフランシスコカリフォルニア大学(UCSF)
クリニカルリサーチフェロー
・兵庫医科大学助教