知っておきたい!対処方法
~乳がんのリハビリテーション~

乳がんのリハビリテーション

リハビリテーションは日常生活を取り戻すのに必要不可欠

乳がんのリハビリテーション編

(4)リハビリテーションの必要性

乳がんに限らず、現代のがん治療においては、手術など治療を行った後(術後)のリハビリテーションが大切だといわれるようになってきています。

がんのリハビリテーションの目的は、少しでも今までと変わらない生活を取り戻すことで、患者のQOLを回復することです。具体的には、患者の回復力を高めるために、残された能力を維持・向上させるリハビリテーションが中心となります。

特に乳がんにおいては、現在は、手術の範囲は小さくなっています。しかし、それでも、手術のためにがんが広がっている部分を取り除くため、手術の後、出血や神経損傷、感染、皮膚壊死、リンパ浮腫、肩の動きの制限などの症状が現れる場合があります。中でも、生活の支障がある腕のリンパ浮腫や肩の動きの制限を予防・改善するためにも、リハビリテーションは欠かせません。

治療後の痛みの図
具体的な障害としては、筋肉やわきの下の皮膚が縮んでしまったことで、動かすと肩関節が突っ張ったり、あるいは痛みを感じたりすることがあります。それをそのままにしておくと、運動を制限することになります。また、痛みなどを感じて腕を動かさないでいると筋力が低下していき、どんどん動かせる範囲が狭くなってしまいます。そのためにも、ほんの少しずつでも動かすようにリハビリテーションを行わなくてはいけません。一般的には、腕や肩の運動をすれば、1ヶ月ほどで腕や肩はもとに戻り正常に動かせるようになります。

なお、乳がんのリハビリテーションは、乳がんの認定・専門看護師や理学療法士・作業療法士といった専門家の指導を受けながら行わなくては、効果は期待できません。



乳がんのリハビリテーション編
― 乳がんのリハビリテーション―

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監修

仁尾 義則 氏

仁尾 義則 氏

<乳腺外科医>
医療法人喜水会 乳腺外科 仁尾クリニック 院長

昭和27年生まれ

1976年京都大学医学部卒業後、京都大学医学部第二外科入局。その後、赤穂市民病院外科、京都大学大学院を経て、UCLA留学。帰国後、京都大学第一外科助手、島根大学医学部第一外科助教授、児玉外科、十条リハビリテーション病院を経て、2008年4月より現職。2014年12月までに、約4400例の手術を行なう(乳腺疾患約2520例、甲状腺疾患約180例、消化器疾患約1350例、その他約370例)。