■慢性閉塞性肺疾患(COPD)
風邪でもないのにしつこい咳や痰が止まなく、また階段を上がるなどすると、すぐに息切れを感じるようになるなどの症状が起こるのが「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」です。
そのままにしておくと、やがて食事や着替えといった日常生活の動作をするだけでも息苦しく感じるようになり、また、病気が進むと唇や爪が紫色になる「チアノーゼ」と呼ばれる症状が見られるようにもなります。
そうした症状が起きるのは、空気の通り道である気道(気管支)や酸素の交換を行う肺(肺胞)などに障害が生じているからで、別名「タバコ病」とも呼ばれるほどタバコが原因となって引き起こされる病気です。
ただし、本人が吸わなくても家族にタバコを吸う方がいれば、副流煙による、いわゆる『受動喫煙』が原因となって引き起こされることも少なくありません。
現在、日本では40歳以上の8.5%にあたる530万人もの患者がいると推定されています。
ところが、実際に治療を受けているのは5%未満なため、そのままにしていて症状が悪化してしまう人も多くいます。
治療法の基本は禁煙です。気道の閉塞が軽度のうちに禁煙すれば、咳や痰の症状は改善され、息切れの悪化も遅らせることも可能です。
しかし、ある程度進行している(中等度)になると、呼吸を楽にするために抗コリン薬やメチルキサンチンといった気管支拡張薬の吸入などを行う薬物療法の他、呼吸機能の低下が見られる場合は、現在の呼吸機能を効率的に生かすための呼吸リハビリテーションが必要になります。
なお、さらに重度になって呼吸不全になると酸素吸入が行われます。