また「(1)大腿部とその骨折について」で紹介した股関節包内で起こった骨折の場合、骨頭への血液の流れが悪くなるため、手術で骨を接合しても骨がつかない状態「偽関節」や骨頭が死んでしまう状態「大腿骨頭壊死」を引き起こす可能性があるため長期間の治療が必要になります。
実際には、ヒトは下半身より上半身の方が重いことから、その上半身を支えるために脚の骨は、非常に強靭な構造になっています。そのため普通の状態であれば、なかなか骨折したりはしません。もし若い人が骨折するとすれば、高い所からの転落、交通事故、ラグビーなど激しい運動などで外部から激しい衝撃があった場合です。
転倒や転落後に大腿の付け根の部分に痛みが出現し、立つことや歩くことができなくなり、下肢を動かすと痛がります。ただし、ずれの小さい亀裂骨折(いわゆるヒビ)の時はつかまり立ちや伝い歩き程度なら可能なことがあり注意を要します。またこの骨折は骨粗鬆症を伴う高齢者に多く発生しますので、認知症などがある場合は発見が遅れることがあります。
福井智一氏
医療法人医誠会
医誠会病院
整形外科