不幸にして脳梗塞が起き、命は取り留めたものの何らかの後遺症が残った場合には、肉体的なリハビリテーションと同様に『心のリハビリテーション』を行うことも大切です。
実際、つい前日までなんら問題が無かった手や足、言語などに、麻痺やことばの障害などが起こるわけですから、誰でも、その不自由さを自覚するまでには時間がかかるのは当然です。まずは自分が、現在、どのような状態にあるのかを正確に理解して、それを少しでも改善するようにリハビリテーションに取り組めるように、心のケアをすることもリハビリテーションの1つだということを理解しましょう。
病気になった本人は、脳梗塞はもちろん、どんな病気であっても、再発の不安を抱えているため、そうした不安や心配によって、うつ状態になる場合もあります。もちろん、そうした状態になった場合は、専門家のカウンセリングや薬物療法などが必要になりますが、そうならないためにも、まず身体と同じくらいに心のリハビリテーションにも力を注ぐ必要があります。
正門 由久 氏
<リハビリテーション科専門医>
東海大学医学部 専門診療学系 リハビリテーション科学 教授