知っておきたい!対処方法
~脳梗塞のリハビリテーション~

脳梗塞の治療法

新しいリハビリテーションにより機能の回復も期待できるように

脳梗塞のリハビリテーション編

(3)早期のリハビリテーションの有効性

さまざまな原因により入院を余儀なくされることがあります。現在はほとんどの場合、入院したとしても、人の身体は動かさないでいるとすぐに弱ってしまうため、寝たきりの状態にならないように、またできるだけ後遺症を軽減するため、どんな疾病であっても、動かすことのリスクが考えられない限り、できるだけ早くからリハビリテーションが行われるようになっています。

脳梗塞になった場合も同じで、入院して治療を受けた、いわゆる『急性期』と呼ばれる時からリハビリテーションは開始されます。

具体的なリハビリテーションの内容については別章で紹介しますが、基本的には、可能であれば、発症した当日から、麻痺がみられる方の手足の関節を痛みがない程度に動かす関節可動域訓練を始めます。もし麻痺のある手足を動かさないでいると、関節が固まってしまい、機能回復に障害が起こる可能性があるため、できるだけ早く行う必要があるからです。

早期のリハビリの図
その後、病状が安定してきたら、血圧などの状態を見ながら、できるだけ寝た状態を避けるように、まずベッドから上体を起こし、可能であれば座ることができるように訓練を行います。そして、座った状態が安定してくると、次は何かにつかまったり、誰かに支えてもらったりして、立つ訓練を始めます。そして、杖などを使用して一人で立てるようになったら、歩行訓練を開始します。

また、それと並行して、自分で食事や着替えなどの日常生活動作ができるように、服を着たり脱いだりする訓練や箸の使い方、トイレ動作の方法などの訓練を行います。



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脳梗塞のリハビリテーション編
― 脳梗塞の治療法―

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監修

正門 由久 氏

正門 由久 氏

<リハビリテーション科専門医>
東海大学医学部 専門診療学系 リハビリテーション科学 教授

昭和31年生まれ

昭和57年慶應義塾大学医学部卒業
リハビリテーション医学会専門医、
指導医、認定臨床医
日本臨床神経生理学会認定医
(神経伝導・筋電図、脳波)
米国神経筋電気診断医学会
(専門医、正会員)